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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第4章  Q 04「隠した物」


「だから。チョークの仮定を1500円に変更すると、コピー用紙との合計は4000円。残りは6000円になる」
「そうかっ。それなら、ファイルとノートの二倍関係が成立するな」
 奏汰が何度も頷く。
「ファイルは4000円で、ノートは2000円なら倍だし、6000円だぁ。全部の合計も1万円!」
 梨沙も嬉しそうに言う。
「正解。ノートは2000円。だから暗証番号は2、0、0、0だよ」
「間違い無いよな? チャンスは一度だけ、ってあるからさ」
 奏汰に、拓也が頷く。二人とも真剣な表情。
「押すぞ」
 奏汰が金庫に指を伸ばすと、二人が頷く。
「2、0、0、0……。開いた! みおのだっ!」
 奏汰が鍵とポーチを取り出す。
 ここから出した薬を美織が飲むのを、奏汰は何度も見ている。中に残った封筒は、拓也が手に取った。
 部屋の鍵を開けて、奏汰が美織に駆け寄る。
「みおの薬、あったぞ!」
 奏汰は自分の袋から出したペットボトルのフタを開けた。その間に梨沙は、美織の拘束を解く。
「ありがとう……」
 美織は奏汰に渡された水で薬を飲んだ。
 薬があるというだけで、美織は気が楽になれた。自分のために謎を解いてくれた三人に礼を言い、立ち上がろうとする。
「ほら、みお」
 奏汰が背中を向けてきた。
「え?」
「負ぶってやるよ。残ってくれたお礼。それに、薬が効くまで少しかかるだろ? ほらっ」
「美織、負ぶってもらいなよ。こんな時なんだからさぁ」
 奏汰と梨沙に急かされ、美織が奏汰の背中に体を預けると、梨沙が袋を持ってくれる。
「拓也、次はどこに行くの?」
 拓也は鉄格子の南京錠を見ていたが、さっき奏汰が持った鍵では、大きさが全く合わない事を確認していた。その奥のドアなら開くかもしれないが、鉄格子の間は狭く、小柄で細い美織にも通り抜けるのは無理な幅。
「ああ。残った者の、後ろの壁を調べろ、って書いてある」
 拓也が手紙を見ながら言う。
 拓也と梨沙が美織の背中が当たっていた場所を調べると、壁土に隠れて鍵穴があった。
「奏汰、さっきの鍵は?」
 奏汰は、ズボンのポケットを拓也の方に向ける。そこから取り出した鍵を使って壁を押すと、ドアくらいの大きさに開く。
 そこは個室の様な部屋。


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