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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第4章 Q 04「隠した物」
ここにも大きなシャンデリアがあり、中央には立派なテーブルとソファーセット。右の壁際には洒落たデザインのラックに、四人には分からない洋酒の瓶が飾ってある。正面の両角に観葉植物。その間の低いチェストの上には、大きな水槽。左側の壁にはレコードもかけられるオーディオセット。その横の棚には、クラッシックのレコードが数え切れない程ある。ドアの横には幅の狭いクローゼットが開いたまま。倉庫代りの様に、物が詰め込んであった。
奏汰は美織をソファーに降ろし、横になるように言う。その間に拓也は、テーブルの上にあった封筒を開けていた。
今度はQというシール。
Q 04 隠したもの
「休息を勧める。絵画は、いい目の保養にもなるだろう。音楽に耳をひそめるのもいい。ゆっくりと憩うのもだいじだ。焦っても、見つからない。
本棚。机。倉庫のなか。
探すばしょは多いが、正解はすぐ分かるだろう。めの前にある。」
「何だよ。憩うのも大事って。早く出たいよ。こんな変な場所から」
「プレーヤーもあるし、この、レコードを聴けってことなの? 凄くたくさんあるよぉ?」
手紙を覗き込んだ奏汰と梨沙が首を傾げる。
四人は、入って来たドアを見つめた。こちら側からは、ノブの付いた普通のドア。
拓也はノブを回してみたが、鍵が掛かっている。この屋敷のドアは、一度閉まるとオートロックになるらしい。後戻りは出来ないという事だ。持っている鍵を試してみたが、やはり開かない。
「ねぇ、また何かあるよ」
部屋の隅にはまたワゴン。大きな皿に載っているのはサンドイッチだけで、ラップがかけてあった。一緒にあるのは、四つのグラスとオレンジジュースの入った透明なティーポット。プラスチック製で、飲み物の周りに氷を入れる作り。氷が解けても、飲み物が薄まらないようになっている。
拓也がティーポットの外側を触ると、掌に多くの水滴がつく。
「これは、さっきの紅茶と違って、僕達が来る大分前に置いたみたいだ」
ポケットから出したハンカチで掌を拭きながら言う。
「さっきは少なかったからな。頂きまーす」
奏汰はすぐにラップを剥がして食べ始めると、美織にも一切れ渡した。