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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第6章 Q 06「近道は迷い道」
少し歩くと、床に封筒がある。そこは右にも道があるが、同じ洞窟の様な造り。
拓也は封筒を拾い上げたが、今度はTのシール。
Trial
「ここから2人ずつに別れろ。
そうしなければ、絶対に出られない。
一方は真っ直ぐ。一方は右へ行け。
先へ進む事が出来れば、また必ず出会える」
「二人ずつぅ……?」
梨沙の声はもう震えていた。
「ああ。従うしかないが、どう別れるかが問題だな……」
呟くように言う拓也を、三人が見つめる。
「私は、拓也とがいい!」
梨沙が声を上げた。
「だって。私と奏汰じゃ、謎解き出来ない二人になっちゃうよ?」
「そうだな。男女で別れるのも懸命じゃないし。僕は美織の体調が悪くなっても、負ぶっては歩けない」
四人とも納得して、拓也と梨沙は真っ直ぐ。奏汰と美織は右へ進む事になった。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「みお、大丈夫か?」
「もう大丈夫」
奏汰と美織が薄暗い中を歩いて行くと、正面に行き止まりの様な黒い壁が見えた。
「みおはゆっくりでいいからな!」
そう言った奏汰が、壁へと走り出す。近くへ行くと、それは壁ではなく黒いドア。奏汰はドアの前の封筒を拾った。Qというシールが憎々しいと思ってしまう。
「どうたの? 奏ちゃん」
「これ」
奏汰は中の手紙を美織に渡した。
Q 06 近道は迷い道
「迷宮を抜けろ。ここは、黒の駅。目的地は、白の駅」
「問題じゃないんだ……」
「取り敢えず、このドアを入るしかないんだろ?」
奏汰がドアを開けると、そこは小さく区切られた部屋。
「何だ? ここ……」
部屋は床も壁も天井もアイボリー。入って来たドアだけが黒く、四方は5メートルもない。だが正面と左右にはドアがある。物と言えば、各ドアの横の台の上に花瓶に差した花があるだけ。
「何……?」
美織も戸惑っているが、入って来たドアはロックされ、進むしかない。
「花の色が、違うよな?」
「うん。赤、青、黄……」
「信号か?」
奏汰が美織を振り返る。
「目的地は、白の駅……」
呟いてみるが、美織にも何の事だか分からない。