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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第6章 Q 06「近道は迷い道」
「信号なら、青が正解だろ?」
「そんなに単純でいいのかな……」
心配そうな美織の肩を、奏汰が笑いながら叩く。
「さっきの問題も、単純だったじゃん。行こうぜ」
奏汰が、青い花のある左のドアを開ける。
「また、おんなじじゃん」
奏汰が言った通り、部屋の広さもドアも花も変わらない。最初に入った黒いドアがない分、部屋全体がアイボリーだった。
青い花のある、右のドアを進む。
「また同じ……」
戸惑うことなく、奏汰は青い花のある正面のドアを進んでいく。
次は右。次も右。今度は正面。青い花のあるドアを進んで行った。
「ねえ、奏ちゃん。最初の所だよ……」
「マジか?」
正面にあるのは、最初に入った黒いドア。
「この手紙、謎解きがないのに……」
奏汰はその場へ座り込んだ。手紙を見ながら、美織もゆっくりと座る。
「迷宮を抜けろ。ここは、黒の駅。目的地は、白の駅……。ここはドアが黒いから、白いドアに辿り着けって事だよね……」
奏汰が頷くのを見てから、美織は溜息をついた。彼に対してではない。これだけのヒントでどうやって白いドアを探せばいいのか分からない、自分に対しての溜息。
「俺も一応考えるけど。ゆっくりでいいから考えてくれよ……」
奏汰に言われて、美織はまた溜息をついた。
時間だけが過ぎていく。不用意に動けば、余計に意味が分からなくなってしまう。それに危険があるかもしれない。
奏汰と美織は、溜息ばかり。
「ここは、黒の駅。目的地は、白の駅……。ここが迷路なのだけは、分かるんだけど……」
「ごめんな、みお。俺がバカで」
「そんなことないよ!」
美織が珍しく声を張る。
「学力も学歴も関係ない。こういう問題って、得意不得意だから。国立大卒で出来ない人もいるし、小学生で得意な子もいるし」
本当に一生懸命な美織の言葉に、奏汰は笑顔を見せた。
「サンキュ。でも、どうしたらいいんだろうなあ。ずっとここにいるわけにいかないしなあ」
「うん。多分、白いドアが出口なんでしょう? ここは黒いドアで、黒の駅だから……」