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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第1章 Q 01「次の問いに答えよ」
四人が正門を出た時、荷台が金属製の大きなトラックが止まる。そこから作業服姿の男が一人降りて来た。
「何か、備品購入とかあったっけ?」
補佐と言っても梨沙は会計のため、そんなことが気になってしまう。
「オレは聞いてないけど?」
奏汰が拓也を見る。
「僕も何も? 生徒会には、関係ない備品だろう?」
作業服の男が荷台を開けると、スーツ姿の男達が四人出て来た。
「キャー!」
掴みかかられた美織が声を上げる。
「何だよっ!」
奏汰は相手を振り払おうとしたが、男にタオルを口に当てられると、グッタリとなった。
他の三人も同じ。
薬品を嗅がされて意識を失った四人は、トラックの荷台へと運び込まれた。
「んっ……」
陽の光を感じて、美織が目を覚ます。
見た事のない部屋だが、洋館の内装。
部屋はそう広くはなく、それぞれが寝ているベッドが四つ。大きな窓の外は森が続いていて、他に見えるのは空だけ。
反対側の壁沿いには、小さな引き出しがたくさんある立派なチェスト。上には、重そうな置物がいくつかある。その横には小型の冷蔵庫もあり、四人では狭いくらい。
「みんな、起きて。奏ちゃん、梨沙、拓也っ」
美織に体を揺すられ、他の三人も目を覚ます。
「え? ここ、どこだ?」
奏汰が部屋を見回し、窓を開けようとするが開かない。
「だったらっ!」
思い切り窓を蹴った奏汰が、足を抑えてうずくまる。
「いってえっ……」
「奏ちゃん、大丈夫?」
美織は奏汰に駆け寄ったが、拓也は今蹴った窓を調べている。
「防弾、ガラスか?」
「拓也っ! どいてっ!」
拓也が避けた瞬間、梨沙がチェストの上にあった重い置物を何度か揺らして、勢いづけたものを窓へ投げた。
置物は窓でゴンッ! と音を立て、フローリングへ落ちる。
「オレの足で、割れるわけないよな。何だよ、この窓はあ」
奏汰が間近で見ると、木に見えた窓枠は金属製。それを拓也も確かめていた。