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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第7章 Q 07「夜の闇に答えはある」
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「拓也ぁ。ゾンビとか、出てこないよねぇ……」
「そんなものは、存在しない。梨沙は、変な映画の観すぎだよ」
梨沙と拓也は、薄暗い洞窟を進んでいる。
「どうすればいいんだ? 分かれ道も無いし」
梨沙に問うわけでもなく、拓也が呟く。
拓也のすぐ後ろを歩いていた梨沙に水滴が落ち、驚いて走り出した。
「気を付けるんだ! 道が……」
「キャーっ!!」
「梨沙! 大丈夫か!?」
拓也が、梨沙の落ちた大きな穴を覗き込む。
「ん。大丈夫ぅ。何か、下が柔らかいマットみたいになってるのぉ」
穴の奥からの言葉を聞き、拓也は考える。
落ちる事を想定して作った穴だろう。だが、怪我をしないようにマットが敷かれているなんて。
「拓也ぁ! 助けてよぉっ!」
梨沙の言葉を聞き、拓也は端を通って先へ進んだ。
「少し待ってろ」
「え? 穴? 横穴に何かあるぅ! 封筒みたい!」
「Qの封筒か?」
拓也は袋からロープを出しながら訊いた。
「ん……。大きさからして多分そう! 開けるね!」
「何て書いてある?」
「暗くて、全然読めないよぉ!」
お互いに手を伸ばしてみるが、全く届かない。梨沙が手紙を渡すのも無理。
「梨沙、お前のロープと縛って長くしてから、体に縛れ」
拓也が自分のロープを垂らす。
梨沙は言われた通りにするが、拓也には引き上げられなかった。
拓也も自分が非力な方だとは分かっている。
「すまない。僕には無理だ。奏汰がいれば……」
「ねぇ、拓也! この横穴、結構続いてる。手紙を置くためだけにこんなに深い?」
梨沙の言葉に、拓也は穴を覗き込んだ。拓也から穴は見えないが、梨沙が壁の一部を指差している。
奏汰f無鉄砲な奴だが、今まで奏汰の力に頼っていたことを二人とも痛感した。
「少し待っていてくれ。僕はこの先を見てくる」
「やだぁ! 置いてかないでよぉー!」
「必ず戻る」
それだけ言うと、奏汰は足元に気を付けながら洞窟の奥へと歩き出す。梨沙が何か泣き言を叫ぶのは聞こえたが、今は無視させてもらう。
この先に、何か道具があるかもしれない。毎回、何かしらの脱出方法はあった。それにもし奏汰達と合流出来たら、梨沙を引き上げることも出来る。
暫く歩いて、拓也の足が止まった。