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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第11章 Q 11「レンガを積んだ数」
Qに失敗したら、どうなるのか分からない。それは今まで失敗せずに来られたお蔭だが、梨沙は自分が貢献出来たとは思っていない。申し訳ないとは感じていても、自分に謎が解けない以上、誰かの言う事を聞くしかなかった。
奏汰が梨沙から鍵を受け取る。
一手。
奏汰はそのまま、無言で鍵を拓也に差し出した。すぐに拓也が受け取る。
二手。
「これで、二手だろ? もう誰にも渡せないんだぞ?」
「渡す必要は無い」
拓也は自分の鍵を開けると、南京錠を外して出口を開ける。そのまま奏汰の前に行き、外側から鍵を開けた。
「あー!」
奏汰と梨沙が同時に声を上げる。
「もう渡す必要はないんだ。外から、人の鍵を開ける事は出来る。あれだけある注意の中に、自分で開けろとは書いていない」
「確かに……」
梨沙が溜息をつく。
南京錠は鉄格子の間に下がっている。それなら、外から開けるのも簡単。
梨沙、美織と順番に鍵が開いて行く。
拓也以外は鉄格子から出ると大きく息をついた。
密室ではないが、牢屋から解放されたよう。
「入力するよ?」
拓也はドアの横にある数字のキーを押した。ドアのモニターに大きく2と表示され、カチャリとドアが開く。
「開いたぁ。これで脱出? 出られるの?」
梨沙がドアへ急ぐが、それより先に奏汰が走り出た。
「通路だ。先に階段があるぞ!」
後を追う梨沙と美織を見送ってから、拓也は押さえていたドアを閉める。カシャリと音がして、またオートロック。
溜息をついてから、拓也もみんなの方へ行った。
「何だよー!」
階段を上がった奏汰が文句を言う。後から来た梨沙と美織も溜息をついた。
「ベッドルームか……」
最後に来た拓也が呟く。
窓から見えるのは、相変わらず森林と空だけ。
広い部屋の壁際には大き目のベッドがあり、チェストや鏡台もある。部屋の中央にはテーブルと四脚の椅子があるが、それは取って付けたよう。この四人のために置いたのは明らかだった。
部屋の奥にもドアはあるが、勿論鍵が掛かっていて開かない。
「またQがあるね……」