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女子大生、文香の受難
第1章 受難1・藪名の診察
小さな診察室へと足を踏み入れると、担当医がにんまり微笑みかけてきた。藪名(やぶな)と名札に書かれた医師は「こんにちは。さぁお掛けください。」と文香を促す。言われるがまま座るや否や、診察が始まった。
「今日はどういった症状でお越しですか?」
「あの、朝から微熱が有って」
「ふむ。何度くらい?」
「37度、7分だったと思います」
藪名は一見30代半ばほどの、若い医師のようだ。陰気そうだということは文香の医師に対するイメージと違わないが、藪名はその上かなり太っていた。身に纏う白衣はパツパツで、もう一回り大きいものを用意した方が良いように感じる。そして、体調を窺う声色にはどこか気味の悪い響きが有り、男性があまり得意でない文香は体を強張らせてしまう。
「あと喉が少し傷みます」
「そうですか……少し失礼しますね」
藪名は早口に断ると、両手のひらで文香の耳の下辺りを覆った。ぐっぐっと軽く押し、腫れを確認しているようだが、その生温かい感触に文香は縮こまる。耳元への触診は数十秒で終わり、藪名は続けて言った。
「確かにちょっと腫れてますね。口をあーんと開けてください」
「あーん……」
銀色の板のような器具、舌圧子とペンライトを両手に持ち、喉の奥をじっと覗き込まれる。
「はい、ありがとう。次は心臓の音を聞かせてください」
「分かりました……」
「服のお腹のとこ、捲り上げてね」
「今日はどういった症状でお越しですか?」
「あの、朝から微熱が有って」
「ふむ。何度くらい?」
「37度、7分だったと思います」
藪名は一見30代半ばほどの、若い医師のようだ。陰気そうだということは文香の医師に対するイメージと違わないが、藪名はその上かなり太っていた。身に纏う白衣はパツパツで、もう一回り大きいものを用意した方が良いように感じる。そして、体調を窺う声色にはどこか気味の悪い響きが有り、男性があまり得意でない文香は体を強張らせてしまう。
「あと喉が少し傷みます」
「そうですか……少し失礼しますね」
藪名は早口に断ると、両手のひらで文香の耳の下辺りを覆った。ぐっぐっと軽く押し、腫れを確認しているようだが、その生温かい感触に文香は縮こまる。耳元への触診は数十秒で終わり、藪名は続けて言った。
「確かにちょっと腫れてますね。口をあーんと開けてください」
「あーん……」
銀色の板のような器具、舌圧子とペンライトを両手に持ち、喉の奥をじっと覗き込まれる。
「はい、ありがとう。次は心臓の音を聞かせてください」
「分かりました……」
「服のお腹のとこ、捲り上げてね」