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魚の骨
第2章 透明

彼と初めてキスした思い出を、たまに取り出しては自分の心の奥底にある母性を実感する。
優しい彼の優しいキスは、私からした。触れたくて知りたくて飛び込んだ胸の中で粘膜を絡ませ合い舌を這わせながら体と体でキスをした。
きっとこうなるだろうと、彼の連絡に飛びついて読んでる時から予測できてた。
私のことを『彼女より大切な人だから』と聞かせられるたび、「いつか彼女と呼ばれる人になるんだろなぁ」と思った。形のあるものに当てはめられたくない私は彼女になったと聞かされたのが、文字の連絡で良かったと思う。
何にも笑えない気持ちを適当な絵で誤魔化すことができた。
きっと私より大切な人が出来るのも時間の問題だろうと思った。彼女の特権とは殆どないに等しい。葬式で泣くことはできても、彼の遺品は持って帰れない。お見舞いに行けても病院から連絡は来ない。
彼女になんか別になりたくなかった。
付き合うと2人の関係がスタートして、日々「別れるか」の選択肢に「別れない」と答え続けることを彼は出来るのだろうか。禁煙をした時、タバコを吸ってる人にイライラするのは24時間「吸わない」を答え続けてる人への嫌がらせに感じるからだと思う。俺たちは「吸う」って選択を選んだんだぞと煽られてるのである。
何かを始めると常に問われ続け、常に答え続けていく果てしないレースが始まる。彼にそれくらいの意思があるとは思えない。きっと疲れて根を上げ、全速力で走ってる私は気付いたら1人で走っているんだろう。
あの日、自ら彼の唇を奪いに行ったときも私は全速力で突っ走ってた。きっと、どの状況でもあの日の私の選択は「キスをする」を選んでた。
彼の舌は優しくて力強くて柔らかくて身体の芯をぶつけられるようなキスだった。触れられていない場所が攻め込まれて血流を騒ぎ立て、腰がうねった。
手を抑えられるように繋がれ下着の奥から素直な自分が叫び続けてる。静かにして、今日はここまでだからと自分の体に言い聞かせるように呼吸を整え、唇を離し彼の横顔に頬をよせて腕を腰に回した。
「したくなっちゃう…」と本音をつぶやくと「また今度ね」と本心を隠された。
優しい彼の優しいキスは、私からした。触れたくて知りたくて飛び込んだ胸の中で粘膜を絡ませ合い舌を這わせながら体と体でキスをした。
きっとこうなるだろうと、彼の連絡に飛びついて読んでる時から予測できてた。
私のことを『彼女より大切な人だから』と聞かせられるたび、「いつか彼女と呼ばれる人になるんだろなぁ」と思った。形のあるものに当てはめられたくない私は彼女になったと聞かされたのが、文字の連絡で良かったと思う。
何にも笑えない気持ちを適当な絵で誤魔化すことができた。
きっと私より大切な人が出来るのも時間の問題だろうと思った。彼女の特権とは殆どないに等しい。葬式で泣くことはできても、彼の遺品は持って帰れない。お見舞いに行けても病院から連絡は来ない。
彼女になんか別になりたくなかった。
付き合うと2人の関係がスタートして、日々「別れるか」の選択肢に「別れない」と答え続けることを彼は出来るのだろうか。禁煙をした時、タバコを吸ってる人にイライラするのは24時間「吸わない」を答え続けてる人への嫌がらせに感じるからだと思う。俺たちは「吸う」って選択を選んだんだぞと煽られてるのである。
何かを始めると常に問われ続け、常に答え続けていく果てしないレースが始まる。彼にそれくらいの意思があるとは思えない。きっと疲れて根を上げ、全速力で走ってる私は気付いたら1人で走っているんだろう。
あの日、自ら彼の唇を奪いに行ったときも私は全速力で突っ走ってた。きっと、どの状況でもあの日の私の選択は「キスをする」を選んでた。
彼の舌は優しくて力強くて柔らかくて身体の芯をぶつけられるようなキスだった。触れられていない場所が攻め込まれて血流を騒ぎ立て、腰がうねった。
手を抑えられるように繋がれ下着の奥から素直な自分が叫び続けてる。静かにして、今日はここまでだからと自分の体に言い聞かせるように呼吸を整え、唇を離し彼の横顔に頬をよせて腕を腰に回した。
「したくなっちゃう…」と本音をつぶやくと「また今度ね」と本心を隠された。

