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魚の骨
第2章 透明
「いやー、忙しかったよ」とタバコに火をつけながら彼は言った。私は彼をチラリと見上げて、また視線を床に落とした。

「そうなんだぁ。そうだよねぇ。忙しそうだったもんねぇ。」とガサガサ鞄の中から自分のタバコを取り出して火をつけた。私は灰皿をじっと見つめたり、ちらちら手元を見たり足元を見たり落ち着きがない。

「いやー、先週は忙しかったよ」
「忙しそうだったもんねぇ」

あぁ、何か話をしなきゃ話が進まないし足も進まない。
やっと私の口が開いたと思ったらものすごく早口でテンポに合わせれてない。彼を接客してた時、ニコニコ目を見ながら笑いかけてうまく相槌を打ててた。うまく相槌を打って、彼の話を引き出す仕事ができていた。いつも通りの仕事で、気持ちよくお客様が時間を過ごしてくれることだけを考えていた。好きになるのは損だ。ううん、好きになられる方が損だ。

彼が私のお客様だった時、大したことない体の不調をぼやいたらケラケラ笑っていた文字が一変して急に自分の話を後回しにして私のことを心配していた。何でこの人はこんなに私のこと心配してくれるんだろう?お客様なのに。と思ったのを覚えている。気になる存在になったのはきっとあの時だったんだろうな。

そんな懐かしいけれど、久しぶりというほど前では無い
過去を思い出してると「朝ごはん食べる?」と彼に誘われた。「前行ったところと同じ場所がいい」と答えてアヒルの親子のように後ろをついていく。

周りは本当の親子に見えてるのだろうか。お父さんだとしても彼は最高だしお兄さんだとしても素敵だし、近所にいても良い人なんだろうな。どう思われても最高の人だから、周りにどう捉えられてもはにかんでしまう。

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