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魚の骨
第2章 透明
親アヒルの彼は私がついてきてるか、たまに確認しながら話をしながら横断歩道を渡っていく。子アヒルの私は早歩きで彼の背中を追って通り過ぎていく障害物をするする避けていった。

いつもの店にたどり着いて、いつものようにパンを彼に渡し、彼はコーヒーを買っていた。コーヒーが溢れて汚れた彼の指を見て、あぁ、舐めとってあげたいと思った。
苦くて甘いんだろうな。その指は。「舐めてよ」ってレジの横で言われたい。

そんな辱めを受けたい気持ちと、ウエットティッシュくらい持っておけばよかった。この小さなカバンは本当に何の役にも立たない私の脳みそと同じだな。自分のことしか考えてない準備だな。とため息が出る乙女な気持ちが交差して、汚れてる手に気付かない一番親切ではない間違ってる選択をした。

友人が勧めてくれた小説に「正しいことより親切なことをしよう」と書いていた。私はどちらもできない気が利かない女だった。

気が利かない私は二階に上がってパンを食べた。
気が利かない女ができる技は気が利かない女を通すことだと思った。中途半端に気が利かない女になるなら、徹底的に気が利かない女だと思われてる方がいいと思った。
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