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魚の骨
第4章 贈物

わたしの名前は田中優子で彼には「優子」と呼ばれていた。ちゃん付けやあだ名も考えたけど、私を呼び捨てしていい男は彼が良かった。
私は偏差値50の高校を出て、偏差値50の短大を卒業したごく普通の頭脳で運動は全くできず明るい8人家族で過ごしたと思う。
兄が2人で弟が1人。女1人で育った私は両親や祖父母から大切に育てられた。
家は裕福ではなく、両親と祖父母は共働きで土日は家にいなくてそれがすごく子供の頃から憧れだった。
私も大人になったら沢山働こう。きっと兄弟4人ともそう思っていて、今4人とも嬉々として働いてる。
母の日や父の日は何のお祭りかと思うくらい酒と花だらけになっていて、両親が子供たちに愛されてることが私の自慢だった。
家族の話をする時、優しい彼は「羨ましいよ。凄くいいお父さんとお母さんで育ったんだね」と褒めてくれる。
私は私より家族を褒められるのが嬉しくて、聞き飽きてるかもしれない話をまた続けてしまう。
彼に何度も「実家に帰った方がいい」と言われ続けてきたけど、唯一耳を傾けることなく私は電車で1時間半で彼の家に行ける距離の暮らしをしてる。
「私がいなくなったら寂しくないの?」と聞くと「寂しいけど自分の意見を言わないと寂しいだけで終わってしまう」と返された。
本当の意味で私のためを思って言ってくれてるのだろうけど、私はもっと自信を持って欲しかった。
私にとってあなたが必要なのに。
お金や物なんてまた働けばいい。働くことは苦ではない。苦だと思ったことは人生で一度もない。働くことは誇りで生き様で娯楽な私にとって、彼を失うことの方がよっぽど怖かった。
今の職を失ってもどこでもやっていける自信はあった。
就活で面接を三度したことあったが、飲食店に家具屋にアパレルと本当にどこでも良かったんだと今も思う。
働けることができるなら私はどこでもいい。
でも言えなかった。
出会ったばかりの頃、実家に戻ろうか悩んでる時
「僕が原因で帰れないとかはないよね?出会って日は浅いし」と聞かれ本心は隠し通した。
「でもたか君が実家の近くにいたなら、もう帰ってるよ」と冗談めかして答えたが、本気だった。
「まぁ、友達もいるもんねぇ」と彼は答えてたが、友達なんてどこでも作れたので気持ちの天秤には乗っていなかった。
私は偏差値50の高校を出て、偏差値50の短大を卒業したごく普通の頭脳で運動は全くできず明るい8人家族で過ごしたと思う。
兄が2人で弟が1人。女1人で育った私は両親や祖父母から大切に育てられた。
家は裕福ではなく、両親と祖父母は共働きで土日は家にいなくてそれがすごく子供の頃から憧れだった。
私も大人になったら沢山働こう。きっと兄弟4人ともそう思っていて、今4人とも嬉々として働いてる。
母の日や父の日は何のお祭りかと思うくらい酒と花だらけになっていて、両親が子供たちに愛されてることが私の自慢だった。
家族の話をする時、優しい彼は「羨ましいよ。凄くいいお父さんとお母さんで育ったんだね」と褒めてくれる。
私は私より家族を褒められるのが嬉しくて、聞き飽きてるかもしれない話をまた続けてしまう。
彼に何度も「実家に帰った方がいい」と言われ続けてきたけど、唯一耳を傾けることなく私は電車で1時間半で彼の家に行ける距離の暮らしをしてる。
「私がいなくなったら寂しくないの?」と聞くと「寂しいけど自分の意見を言わないと寂しいだけで終わってしまう」と返された。
本当の意味で私のためを思って言ってくれてるのだろうけど、私はもっと自信を持って欲しかった。
私にとってあなたが必要なのに。
お金や物なんてまた働けばいい。働くことは苦ではない。苦だと思ったことは人生で一度もない。働くことは誇りで生き様で娯楽な私にとって、彼を失うことの方がよっぽど怖かった。
今の職を失ってもどこでもやっていける自信はあった。
就活で面接を三度したことあったが、飲食店に家具屋にアパレルと本当にどこでも良かったんだと今も思う。
働けることができるなら私はどこでもいい。
でも言えなかった。
出会ったばかりの頃、実家に戻ろうか悩んでる時
「僕が原因で帰れないとかはないよね?出会って日は浅いし」と聞かれ本心は隠し通した。
「でもたか君が実家の近くにいたなら、もう帰ってるよ」と冗談めかして答えたが、本気だった。
「まぁ、友達もいるもんねぇ」と彼は答えてたが、友達なんてどこでも作れたので気持ちの天秤には乗っていなかった。

