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魚の骨
第4章 贈物
「指から漬物の匂いがする!」と言うと画面の向こうで彼は笑っていた。
スモーキーな味でべろんべろんに酔いたくなり、冷蔵庫からスパークリング日本酒を出した。
無くなると落ち込むのに止まらなくてずっとパリポリ食べて、また気が合ったことが嬉しかった。
私はこの漬物が好きだ。


タカくんは沢山兎を飼っていて、毎朝兎の世話に勤しんでる。いろんな牧草を買ってはそれぞれの兎たちの好みによって餌を分けている。愛されてる兎たちとタカくんを一目見たいけど、私は見たことがない。きっと可愛いんだろうな。兎の世話で待ち合わせに遅れそうになったり、兎の世話があるからと家に帰ってるタカくんを見ると、沢山の犬を飼ってる父親を思い出して微笑ましかった。

バレンタインには兎の絵が描いてるチョコレートと私の失敗したお菓子と地元の名産品のうどんと紅茶をあげた。

上手くできなかった時のためにチョコを予約して買っておいてよかったと思った。一ヶ月前から考えていて、この日に材料を買ってこの日に作ろう、このデザインにしようとずっと決めていたのに出来栄えが最悪で謝罪の手紙を書いた。
何度食べても臭くて生命力を全て失っていく不味さだった。


お菓子を作って持って行くとは恥ずかしくて言えず、
「大人の玩具を持って行く」と嘘をついた。
「楽しみにしてるね」といやらしい妄想を彼はしているのかもしれないと思うと、脇の下から汗が流れた。

玩具も持って行こうか悩んだが、バレンタインのイベントを楽しみたい気持ちを優先して玩具はやめておいた。
不味いお菓子だけでは不憫になり、急遽もう一品適当にネットで調べて作ったお菓子も入れたが、それもシンプルに不味かった。
コメントするほど不味いわけではないけど、美味しくはなかった。

こんな美味しくないものを沢山持って行って嫌がらせをしに行くようで、彼と会ってホテルに入っても言い出せなかった。

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