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魚の骨
第5章 卍
髪を染められてる間、目の前には雑誌が二冊あり
顔面偏差値と見出しに書いてる雑誌を手に取った。

表紙は今人気のタレントで、その女の子で巻頭は8ページほど使われており何も考えたくない私は黙々と読んだ。

タレントの休日の過ごし方や服を買っている場所が書かれてあり、同じ人間でもこうも扱いが違うのかとため息をつく。
後ろで顔立ちが整った美容師が私の髪の毛に丁寧にカラー剤を塗り込んでいる。横でアシスタントの安っぽいシルバーアクセサリー男は手伝っている。仕事をすぐ辞めそうな顔をしてるなと思った。


髪型勝手に変えたら 怒ってくれていいじゃん
あんたの話オチがないのに 長いのよ

頭の中で「合コン後のファミレスで」が流れる。
タカ君は昔付き合っていた彼女に「嫉妬しないから」という理由で振られたらしい。
タカ君は確かに嫉妬も束縛もしない。
私が飾りの仕事をしようが、グレーな仕事をしようがブラックな仕事をしようが偏見を持たず平等に見れる人だった。
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