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魚の骨
第6章 酸欠
気持ち悪いセックスだった。
テレビをつけるとやんややんやと世間が騒ぎ立て、同じ言葉を連呼し何かの罠のようにこの日は何をするのかと問い詰めてくる。私が今からすることを一体何人の人が後ろ指をさしてくるのかと思いながらも、皆今日という日に夢中でそんな暇なことをする人はいないとも思った。


「ちょっと気持ち悪い」
持参した玩具を止めて遠のく意識の中、胃液が逆流しそうな動きを感じた。
「えっ」と綺麗な瞳に具合が悪そうな私が映る。
まだ手に汗を握って勉強をしていた幼少期の習い事の題材で、瞳の中に母親が映っている話を読んだ記憶を思い起こした。
その話を台所で母に聞かせた。「お母さんの目に私が映ってる」とはしゃぎ、「お母さんの目の中に私が住んでる」と喜んだ。
母は嬉しそうな表情で「優ちゃんの目にもお母さんがいる」と見つめ合った。


今彼の瞳には私が住んでいて、私の瞳に彼は住んでいない。不安そうにいくつかの質問を私に投げかけてくるが、上手く答えれないくらい体内が荒れていた。

咄嗟に素人ながら思いついた単語は「酸欠かもしれない」という文章になり、のちに強ち外れていない予測で自分の危機管理能力は侮れないと自負した。

酸欠という単語は私を苦しめて、こんなにも2人の邪魔をするのかと顔が青ざめていくことがわかる。
「台詞無呼吸だから。息もきちんとしないと」と動悸が早くなる要因の彼が私にアドバイスをくだす。
「台詞無呼吸っていう病気なの?」
「いやそんな言葉はないけど、喘ぐ度息が止まってたから」

今日という日を一番意識していたのは世間の何ものでも無く私だった。彼と会うことが決まった2日前の朝。絶対に今日がいいと飛び跳ねて布団に潜りこみ、緩む口元を抑えきれなかった。

瞳に映ってない彼は今日が何の日なのかは理解せずにやってきた。私の事、本当は好きじゃないのかもしれないと過去の女が騒いだ要因だろう。運が実力ならば、人生の運を全て賭ける覚悟がある人間が彼と過ごせるんだと私は信じてる。
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