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魚の骨
第6章 酸欠

ジリジリと鳴るおもちゃの音と自分の体液の音が混じり、目の前をぐるぐると周り車に酔ったような気分になっていく。音が水に変わり水が音になる。体液の音を彼の指が掬い上げ彼の音にしてしまう。音の出し方も息の仕方も義務教育では習っていない。人は誰にも教わらず、息遣いも腰使いも舌使いも本能で学んでいく。
本当の能力は誰しもにあるとは思えないのに。彼の動きが本能ならば、天才か運命だと思った。
「これじゃあ、脱水症状になるねぇ」と原型に触れることが困難な微温湯を掻き回される。
「んー…喉乾いた」
「飲み物飲む?」
「飲ませてほしい」
雛鳥のように口で飲み物を移して欲しがる私を彼は一体どう思っているのだろう。子供のように甘える女だと思っているのか、大人のように甘える女だと思ってるのか、それとも適切な量を考えているのか。
カラカラと小さくなった氷が舌と唇に温度が移り冷たくなっていた。付き合う以前「子供のように甘えるね」と言われたことがある。大人の女の甘え方を私は知らない。
大人になれてるなら、甘えなくても生きていける。
彼から連絡がこない日々、私は大人になるための課題を課さられている。大人は自立して日々目標に向かって反省して自分を励まして目に見えない人にも感謝して生きていける。大人にならなきゃともがく度、子供の自分が会いたいと叫んでいる。27歳。私は1人で飲み物を飲まない。
本当の能力は誰しもにあるとは思えないのに。彼の動きが本能ならば、天才か運命だと思った。
「これじゃあ、脱水症状になるねぇ」と原型に触れることが困難な微温湯を掻き回される。
「んー…喉乾いた」
「飲み物飲む?」
「飲ませてほしい」
雛鳥のように口で飲み物を移して欲しがる私を彼は一体どう思っているのだろう。子供のように甘える女だと思っているのか、大人のように甘える女だと思ってるのか、それとも適切な量を考えているのか。
カラカラと小さくなった氷が舌と唇に温度が移り冷たくなっていた。付き合う以前「子供のように甘えるね」と言われたことがある。大人の女の甘え方を私は知らない。
大人になれてるなら、甘えなくても生きていける。
彼から連絡がこない日々、私は大人になるための課題を課さられている。大人は自立して日々目標に向かって反省して自分を励まして目に見えない人にも感謝して生きていける。大人にならなきゃともがく度、子供の自分が会いたいと叫んでいる。27歳。私は1人で飲み物を飲まない。

