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魚の骨
第1章 契り
ホテルを出て彼と手を繋ぎながら駅に向かうまで犬を飼いたい子供のようにいつも駄々をこねた。
「ねぇ、いいでしょ?朝こっそり帰るから、家では喋らないから。いるだけでいいから、私も家に行く。帰りたくない」とわざと我儘な態度をとって名残惜しい気持ちを伝えた。それは可愛い女でいたいだけの茶番劇にすぎなかった。


私はホテルを出てからずっと現実しか見ていない。
彼と会ってない日々は現実とだけ向き合った。それがこの恋の償いになるなら、正々堂々と向き合うつもりだった。
誰かに彼の話をして悪く言われるのは全て私の責任であって、私の評価が彼につながるなら全て犠牲にかけてでも守りたかった。彼と出会って出来るようになったこと、誰もが認めてくれる結果は全て彼のおかげにしたかった。
あなたの努力だからと周りに言われたとしても、何とも嬉しくなかった。

どんな有名なスポーツ選手もドーピングを使った瞬間、全ての成績が水の泡になる。どれだけたくさんの感動作品を生み出した監督も週刊誌に載ればイメージは悪くなる。
面白かった芸人も不倫をすればしばらく表に出てこれない。

私は少しのミスもしないように彼の話をし続けた。
私の頑張りを人に褒められるたび、彼の話を出した。彼がいるおかげでここまで来れたと言うために私は現実世界で戦ってきたのだ。

「男を立ててる」とかそんな手で押さえてるだけのような表現はされたくない。彼は前に出てこない。私の前に出てこない彼を引っ張り出して前に出すつもりはない。
彼とはいつも横並びで手を繋いでいたい。


電車に乗って照れ臭そうに小さく手を振ってる彼を見て次会う日までの目標を立て直している。1秒も彼に飽きられない方法を日々模索して実践して結果を残し続けたら、きっと彼は私と手を繋ぎ続けてくれる。横でうまく泳いでくれて、また私が溺れたふりをして助けてくれて、それで彼の手柄になってくれる。
彼は私より何十年もこの地で心臓を動かして生きていた。
彼と一緒に逝けるなら寿命が縮むくらい私は血眼にして結果を残したい。


燃えるような恋はしたくない。まだ燃やせれると素手で丸太を割りに行く恋でいいと思った。


家に着きシャワーを浴びず彼の感触や匂いは残ってないか
自分の服や下着を脱ぎ並べては、素っ裸で匂いを調べ尽くした。
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