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堕落の絵画 調教の目覚め
第2章 思いもよらぬ再会
せめて手持ち無沙汰を解消しようと、誰も見向きもしなくなったコロッケやピザなどを片付けるように口に運んでいると胸がむかむかしてきた。
タケシが絶え間なく吸い続ける有害物質をたっぷり含んだタバコの煙のせいで、さっきから頭がガンガンと痛い。
耐えきれずトイレに逃げ込み、数分間をやり過ごす。

鏡に向かい、自然と化粧ポーチを開いた。
肩下まで長さのある黒髪にクシを通しファンデーションを手にした途端、直したそばから落ちていく化粧を直すのが馬鹿らしくなり、そっと戻した。
どうせ石像なのに、外見を整える意味もない。

なぜ、私だけがこんなにダメージを受けなければならないのだろう。私は誰にも迷惑をかけた覚えはないのに。

学生時代は皆で一気飲みをして、箸が転げただけで涙が出るほど大笑いし、朝まで騒いだ。
あんなに楽しかった飲み会が、溜め込んだ愚痴をこぼす場に変化したのは、一体いつからだろう。

何時間でも話せた恋愛話も、今は結婚絡みの話題が多くなり、一気に重みが増した。
「結婚式のご祝儀はいくら出してる?」
「30才のタイムリミットまでに子どもが欲しい」
聞けば聞くほど憂鬱なワードが飛び交う。

重い足取りで席に戻ると、ユカリが友人の結婚式で行うサプライズの話で盛り上がっていた。
絶望的なほど興味を持てず、摩耶子は壁に貼り付けられた黄ばんだメニューを眺めることにした。

温玉サラダ、野菜串盛り合わせ、お刺身3点盛り……食欲も睡眠欲も旺盛な自分の精神は至って正常だと、摩耶子は思う。
それにも関わらずもう3ヶ月以上、摩耶子の気分は陰鬱に占められている。
以前から似たようなことは何度かあった。きっと、元々の性質なのだろう。

摩耶子は同級生に苛立つ自身のすべてを呪った。
なぜ自分は、素直にこの場を楽しめないのだろう。
こんな性質を生まれ持った自分の腐った魂を殴りつけて、跡形もなく消してしまいたい。

もう何を思われたっていいから、やっぱり帰ろう。
そう思い、席を立ちかけた時だった。
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