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お良の性春
第1章    好色歌留多 裸地獄
 さて、その後の試合の展開は、予想通り。
 ほとんど娘組の優勢。男たちは次々負けて、褌に肌襦袢のだらしない有様。何とか持ちこたえているのは一之進ただひとり。
 その、褌の見え隠れする男どもの姿に、娘たちは目のやりばに困っていた。

 中でもお雪の目は落ち着かない。

 座った場所が悪かったのだ。お雪の斜め前方に肌襦袢姿の龍之介が胡坐をかいて座っていた。

 その龍之介の褌の端から中の一物がチラチラと見え隠れするのだ。

 (見てはいけない)と目線を外すが、そこいらを泳いだ目線は、再び龍之介の股間に止まる。
 そんなわけで、お雪はおよそカルタとは関係のない番外編で、男たちの褌と格闘していた。
 娘の中で負けたのは、お良、お松、それに褌に心ここにあらず状態のお雪の三人。

 中でもお松は二度も負けて、すでに肌襦袢姿。こんなゲームを提案した兄にカンカン。
 「お兄さんのあの褌、わたしが絶対引っ剥がしてやる」と過激である。
 と言うのも、お松は前日、兄から頼みがあると頭を下げられた。
 何のことかと聞いてみると、今回の特別趣向の提案だ。

 「他意はない、少しマンネリ気味だから盛り上げたいだけだ。どうせ娘組が勝つ」

 そんな兄の口車に乗せられ、ひょいと手渡された簪に目がくらみ、賛成の音頭をとってしまったのだ。

 悔しい。
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