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お良の性春
第1章    好色歌留多 裸地獄
 きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
 きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな

 見ての通り、この二首は上句五文字が同じである。上の中句の頭が決り文字。
 だから、この二首は、「お手つき」になんとしても注意しなければならない特別な句だったのだ。
 喜一がそのことを知っていたか、はたまた運よく勝ったのかは別として、カルタをよく知ものが必ず勝つとはいえない。そこがまた、カルタの醍醐味でもあった。

 お良は愕然とした思いに打たれた。

 長襦袢を脱げば、肌襦袢一枚。体の線は無論、胸の膨らみも透けて見える・・・。
 すでに肌襦袢のお松は三つ年下。まだまだ子どもだ。この間までは腰巻一枚で座敷を走り回り母に叱られていた。それに対してお良はすでに・・・。

 「さあ、約束ですから、お良さん」
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