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お良の性春
第1章    好色歌留多 裸地獄
 思わぬ期待通りの展開に、源一郎は万馬券を取った競馬狂いの心境。うれしいような、恐いような。

 一方、お良にはたった一つだけ救いがあった。

 虫の知らせのように、お良はいつもの洗いざらしの肌襦袢と腰巻ではなく、はじめて手を通す薄い桜色の肌襦袢に、これまた下ろし立ての真っ白な腰巻を身につけていた。

 (お古でなくてよかった)と思いつつ、顔から火が出るような思いで腰紐を解いた。

 男たちのため息とも歓声ともつかぬ声が広間に波紋のように広がる。

 お良は一番の美形だったが、薄い桜色の肌襦袢に身を包んだその姿はひときは美しかった。艶(なまめ)かしく、近づきがたいほどの美を放って、見るものを魅了した。

 見事な胸の膨らみから、その先端にある可愛らしい乳首の有り様まで、目を凝らせば透けて見えるようだ。

 男たちの目線はギラギラとつき刺さり、あるいは、オドオドと盗み見していた。
 しかし、当の本人はただただ恥ずかしいだけ、穴があったら入りたかった。

 「では次を」

 源一郎の声で喜一が女の札を引くと「おーーー」といううめきのような声に続けて「お良さんだ」
 
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