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お良の性春
第1章    好色歌留多 裸地獄
 胸の膨らみだけは・・・、両腕で胸を覆って隠した。

 しかし、美しい背も肩も腰巻の下の臀部の輪郭も隠しようがないのだ。
 脱ぎ落とした肌襦袢を畳むことすら出来はしない。
 心臓が今にも爆発しそうな勢いで脈打つ。
 降り注ぐ男たちの目線が痛いほど感じられた。お良はもはや身動き一つ出来ない有様。

 「では次の対戦を」

 試合が再び始まり、選手を選ぶくじが引かれる。
 (はやく終って欲しい)お良はこの悪夢が一刻も早く終ることだけを念じていた。
 お良の願いが天に届いたのか、なんと選ばれた男は褌一枚の清三郎だ。

 (よかった)

 あとは娘の誰かが勝ってくれれば、それで終る。

 そうお良が思ったとき、札を引いた清三郎がうめき声を上げた。

 またしてもお良の名が告げられたのだ。

 三回連続。

 男どもは「おー」と雄叫びのような声。娘たちからは「エー」と悲鳴が上がった。
 娘たちも次第に常道を失いかけていた。

 中でも、例の番外編で格闘中のお雪は、男たちの褌が、子を孕んだ妊婦の腹のように膨らんでいくことに気づいていた。どいつもこいつも、お良が一枚脱ぐごとに、みな膨らんでいくのだ。その膨らんだ一物が・・・・・。

 お雪は目を覆いたかった。こともあろうに、心密かに思いを寄せる龍之介の見てはならないものを見てしまった。
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