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お良の性春
第1章    好色歌留多 裸地獄
 そのとき、お雪は、おのれの胸の疼きに気づいた。

 乳首がチクチクとしている。

 陥没型のお雪の乳首は、普段は乳の中。

 その乳首が今にも飛び出しそうに立って来た。

 胸を手で覆えばかえって人目につく。しかし、そのままでは、肌襦袢にくっきりと乳首の突起が・・・・・。

 お雪はあわてた。もはや人のことなど心配している場合ではない。この飛び出した乳首を男どもに見られでもしたら。

 それは、お雪一人の思いではなかった。ほかの娘たちも大なり小なり怪しい興奮状態に巻き込まれつつあったのである。

 「お願い。お良さん勝って。清三郎様の褌を取って、早くこのカルタ取りを終らせて。お願い、お良さん」

 心の中でそう叫びながら、お雪は自分の卑怯を恥じた。でも、背に腹は変えられない。エースのお良にすべてを託すしかないのだ。

 お良は目の前が真っ暗闇。このあられもない姿。身動きも出来ない腰巻一枚の姿で、カルタを取ることなどできるわけがない。

 だが、もし負けたら、腰巻まで脱がねばならない。

 なんとしてもこの一枚の腰巻だけは守らなければ、守り通さなければ・・・・。
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