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ハデな彼に、躾けられた、地味な僕【BL】
第5章 そして現在
「はぁ…」

僕は深くため息をつきながら、食器を棚に戻した。

立派な食器洗い機があるけれど、僕は普通に手で洗う方が合っていた。

夕飯は彼のリクエスト通り、肉じゃがに焼いた塩シャケ、それにあさりの味噌汁を作った。

紗神は上機嫌に美味しいと言いながら食べてくれた。

まあ材料が高級老舗スーパーで購入したものだから、とも言えなくもない。

紗神の元へ来てから、高級で美味しいものばかり食べるようになった。

嬉しいのと同時に、彼と別れた後の食生活が心配になってくる。

下手に舌が肥えても、後で苦労するだけだ。

…そう、彼と別れることはいつでも考えている。

紗神はとても気まぐれで、いつ僕を捨てるか分からない。

だからその時の心の準備はしていた。

「ああ、クソッ。ダメか」

リビングで紗神はイライラしながらパソコンのキーを叩いていた。

何でも株がちょっと危ないらしい。

まあ不景気だからな。

でも失敗したからといって、彼の財産にダメージはあまりない。

元々遊びでやっているし。

…でも後からスッゴク機嫌が悪くなるのは勘弁してもらいたい。

だってイライラの矛先は、必ずと言って良いほど…。

「永河、ちょっとこっち来い」

僕に来るのだから。

音も無く息を吐くと、僕はエプロンを脱いで彼の元へ行く。

窓際に置いてある黒く大きな机とイスのセットは、彼の仕事用だった。

パソコンが三台も置いてあって、彼は窓に背を向けて作業をしている。

「なに?」

「さっきの侘び、してもらおうかと思って」

やっぱり…。

しかも機嫌が悪いままときた。

「何をすれば良いの?」

「とりあえず、フェラしてよ」
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