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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
ベッドに引き込まれ、ゆっくりと押し倒された。
男の長く綺麗な指が澄佳の顎にかかり、唇を奪われる。
…先ほどの続きのような濃厚で熱い口づけになるのに、時間はかからなかった。
「…ん…っ…は…ああ…っ…ん…」
舌を濃密に絡められ、自分でも信じられないような甘い声が出てしまう。
柊司の手が浴衣の上から乳房をなぞり、優しく握りしめられる。
「…ああっ…」
「…澄佳さんはまるでいたいけな女の子みたいだね…なんだか悪いことをしている男の気分になるよ…」
苦笑交じりに熱いキスを繰り返される。

…処女でもないのに…そんなにも優しい言葉を与えてくれる男に切ない想いが溢れる。

「…柊司さ…ん…」
思い切って口を開く。
「…私…貴方が初めてじゃないんです…」
頬にキスを落とし、優しく微笑う。
「三十歳のこんなに綺麗な女性がヴァージンだとは思っていないよ。
僕が処女性に拘る下らない男だと思うの?」
「…私、貴方にまだお話していないことがあります。
昔…私は…」
素早く澄佳の唇が、男の人差し指に塞がれた。
「…その話はまた別の機会に聞かせて。
僕は君の初めての男にとても寛容になれるほどに大人ではないんだ。
澄佳さんが凄く好きだから…。
…嫉妬深くて、ごめんね…」
苦しげだが誠実な言葉だった。
溢れる涙に歪み、柊司の貌が良く見えない…。

澄佳は男の手に手を重ね、首を振った。
「…いいの…。嬉しい…」
…荒々しく唇が奪われ、男の逞しく引き締まった身体が覆い被さるのを全身で感じながら、澄佳はそっと瞼を閉じた…。


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