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フリマアプリの恋人
第5章 チャイナローズの躊躇い
「…残りの授業料が払えなくてさ…無理やりバイト、突っ込んじゃったんだよ」
ぽつりと声が響いた。
「…授業料…て、なぜ?」
…瞳は福岡の苺農家の娘だと聞いていた。
高級苺 甘王を栽培する豪農なので羽振りが良いのだとからりと自慢していた。

すると瞳はまるで天気の話をするようにあっさりと語り始めた。
「去年の台風でさ、うちの苺ハウス全滅しちゃったんだよね。だから収入激減!参った参った。
親は仕送り続けてくれる…て言ったんだけど、断ったの」
「なぜ?」
「うち、下にまだ弟二人いてさ。今度高校受験のやつもいるし、お金かかるんだよね。
あたしはあと半年だし貯金もあるし家庭教師のバイト実入りいいから大丈夫!て言ったんだ。
だから今、一人で経済回してんの。すごくな〜い?」
けらけら笑う瞳が、健気で思わず胸を打たれた。

「…そうだったのか」
「あ、きよたん。同情しなくていいからね?
奨学金貰いながら働いて学校来てる子もいるしさ、あたしが特別可哀想な訳じゃないから。
今さえ乗り切れば、来年の四月からはベンチャー企業でブイブイ言わせてやるんだから」
「同情はしない」
「あ、そ」
柊司はてきぱきと指示を出す。
「まず、学生課に相談に行きなさい。天災の場合は授業料納入は最大1年間猶予を貰えるはずだ。もちろん分割も可能だ。しかも無利子だよ」
「へ?そうなの?」
瞳は目を丸くして驚いた。
「…そう言うことは早く相談しに来なさい。大人を頼ることも時には必要なんだよ」
「はあい…」
神妙に肩を落とす。
「…それからレポートの提出期限だけれど、今回は特例で延長を認めることにする。
僕が教務課に掛け合うから、君はなるべく早くレポートを仕上げて提出しなさい」
瞳の眼が輝いた。
「マジ⁈きよたん、ありがとう〜!ヤダどうしよう!男前すぎる!
あたし、きよたんに惚れてしまいそう〜!」
抱きつきに来る瞳を冷たく振り払う。
「迷惑だからやめてくれ」
そうしてさっさと簡易キッチンに向かい、淡々と告げた。
「…お茶くらいご馳走しよう。今日だけだ」

瞳が大袈裟に身悶えて見せた。
「やっぱ惚れちゃう!きよたん、抱いて〜ッ!」

柊司はちらりと瞳を見遣り、呆れたように肩を竦めて見せた。
「丁重にお断りするよ」




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