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フリマアプリの恋人
第5章 チャイナローズの躊躇い
マンションに帰り、柊司は澄佳にメールを打とうとして時計を見る。
夜の九時を過ぎていた。
店の閉店時間は過ぎている。
…少し考えて電話に切り替えた。
…どうしても、澄佳の声が聞きたかったのだ。

コール音にすらどきどきする。
…まるで初恋の女の子に電話をするみたいだ…。

「…もしもし?」
「もしもし…。…柊司さん…?」
…ややハスキーな…けれどしっとりと水分を含んだ愛おしい…澄佳の声だ…。
「…こんばんは。…お店は終わった?」
「さっき終わったわ。柊司さんは?」
「新宿で編集者と打ち合わせして、すぐに帰ってきた。
…早く澄佳さんの声が聞きたくて…」
スマートフォンの向こうで、小さく笑う気配がする。
…柊司が大好きな少し恥ずかしそうな笑い方だ。
「…私も…柊司さんの声が聞きたかったわ…。
…でも…自分から電話するの、勇気がいるから…。
ありがとう…」
「電話、いつでもくれていいんだよ」
「…でも…お忙しかったら迷惑じゃないか…て思ってしまうの」
今度は柊司が笑う番だ。
「…忙しくても関係ないよ。澄佳さんは最優先だ」

…少しの沈黙があり、ぽつりと声が届く。
「…逢いたい…柊司さんに…」
万感の思いが凝縮されたような言葉に、胸が甘く締め付けられる。
「…僕もだよ。澄佳…」
「…逢いたい…」
普段控えめな澄佳の言葉とは思えない、熱情の塊のような声…。
その熱に侵されたかのように、囁く。
…まるで恋に溺れる青年のように…。
「…君に逢いたい。
…逢って、君を抱きたい…」
「…私もよ…。…貴方が恋しい…」
艶めいたしっとりと夜の露を含んだような濡れた声であった。
…艶かしい…澄佳の婀娜めいた姿が鮮やかに蘇る。
…男を無意識に誘う…密やかな夜の芳しき白い花の誘惑…。
身体の奥底から甘く激しい疼きが起こる。

柊司は深く息を吐き、愛おしい恋人に語りかける。
「…あと四日だ。週末には、逢える…」
「…ええ…。待ちきれないわ…」
…色情を抑えたつややかな声…。
楚々とした清らかな彼女の秘められた一面が、愛おしくてならない。
「…愛しているよ、澄佳」
…潮騒の音が聞こえたのは幻だろうか…。
だがそれに続く、愛の言葉は幻ではなかった。

「…愛しているわ。誰よりも…」










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