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フリマアプリの恋人
第5章 チャイナローズの躊躇い
朝ご飯は眼が覚めるほどに美味しかった。
…眼にも鮮やかな青さの味噌汁、カマスの塩焼き、ひじき煮、小松菜のお浸し、出汁巻き卵、よく漬かったキャベツと胡瓜の糠漬け…。
「どれも美味しいよ。
青さ…て初めて食べたけれど、磯の香りが素晴らしいね」
「…どれもここの港で採れたものばかりよ。田舎料理で恥ずかしいわ。
…柊司さんのお義母様は、きっと洗練されたお料理を作られるんでしょうね?」
やや遠慮勝ちな質問に、思わず箸が止まる。

…数日前の、寂しげな由貴子の声が蘇る。
「…そうだね。…料理上手な義母だからね。でも、義母が作るものはごく普通の家庭料理だよ。
…子どもが喜ぶような…」


…「柊司さん、お弁当綺麗に食べてきてくれたのね」
学校から帰宅し空の弁当箱を渡すと、由貴子は嬉しそうに笑った。
由貴子の笑顔を見ると、身体がふわりと軽くなるくらいに嬉しい。
「母様が作る料理、すごく美味しいから…。
今日の海老しんじょ揚げ、めちゃくちゃ美味しかった。
今度の遠足でまた作って」
由貴子は笑いながらその白い手で柊司の頭を撫でた。
「いいわよ。他にはリクエストある?」
温かな手がくすぐったくて、柊司は肩を竦めて笑い返した。
「卵焼きと鶏の唐揚げとエビフライ、メンチカツ、アスパラのベーコン巻き、ハンバーグ。あと、ポテトサラダ…あと…」
由貴子が朗らかに笑い転げる。
「いいわよ。三段のお重になってもいいならね」
「持っていく。友だちに自慢する」
二人は貌を見合わせて笑った…。

…あのままの二人でいられたら…どんなに楽だったか…。


「…柊司さん…どうしたの?」
澄佳の怪訝そうな声に我に帰る。
慌ててひじき煮を口に運び、笑いかける。
「なんでもないよ。このひじきもすごく美味しい。
…食事が済んだら開店準備を手伝うよ。
料理以外なら何でも言いつけて」

澄佳は瞬きをしたのち、柔らかく微笑んで頷いた。
「…ありがとう…」

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