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フリマアプリの恋人
第5章 チャイナローズの躊躇い
二人で賄いの昼食を和やかに摂りながら、柊司は提案した。
「…夜の営業だけど…良かったら僕にも手伝わせてもらえない?
洗い物でもオーダー取りでも何でもするよ」
「…え?…でも…」
戸惑う澄佳に、にっこりと笑う。
「仕事なら目鼻が付いたから大丈夫。
…君さえ良かったら、手伝わせてくれないかな?
…もちろん、僕をお客様に見せても構わない…て澄佳さんが思ってくれたら…だけど。
僕の存在を近所のひとに知られたくなかったら、無理しなくていいよ」
間髪を入れずに、澄佳が答える。
「そんなこと!あるはずがないわ。
…あの…私…柊司さんを恋人…て紹介していいの?」
遠慮勝ちに尋ねる澄佳に頷き、手を取る。
「もちろん。紹介してくれ。
…でも大丈夫かな。
きっと澄佳さんはこの町のアイドルだろうから、僕は恨まれそうだな」
茶目っ気たっぷりに答える柊司の眼を見て、涙ぐみながら吹き出す。
「…柊司さんたら…」
その白い手を取り、甲に口づける。
「…愛してる…」

澄佳は潤んだ瞳で微笑みながら、テーブル越しに身を乗り出し、柊司の唇に触れるだけの可愛らしいキスをくれた。
「…私も愛しているわ…」


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