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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
…こんなに緊張してカキフライを揚げたのは初めてだ。
澄佳は汗を掻きながら、揚げたての牡蠣をバットに移した。
よく油切りしてからカキフライを皿に盛り、千切りキャベツと櫛形に切ったトマトを二切れ、レモンを一切れを飾る。
自家製のタルタルソースを小皿に乗せ、ご飯茶碗、豆腐となめこの味噌汁、きゅうりとなすの浅漬け、切り干し大根の小鉢を盆にセットして慎重に運ぶ。

スマートフォンを見ながら何かの書類を確認していた男の卓に丁寧に置いた。
「お待たせしました。カキフライ定食です」
男は盆の上のカキフライを眺め、やや感心したように呟いた。
「美味そうだな」
「…だといいんですけど…」
思わず本音が漏れた澄佳に、男が小さく笑った。
…それは決して嫌な笑い方ではなかったので、澄佳は言葉を付け加えた。
「タルタルソースかウスターソース、どちらでもお好きな方を掛けてください」
「タルタルソースは手作り?」
料理に関心はなさそうだったのに…と澄佳は少し驚いた。
「…はい」
「何が入っているの?薄ピンク色だ…」
「…柴漬けです。酸味が出るし色が綺麗なので…」
「へえ…。面白いね…」
素直にそう呟くと、男は箸を取り食べ始めた。
「ごゆっくりお召し上がりください」
他の客のレジやテーブルの片付け、配膳などをしながらも男がどんな風に食べているか気になる。
…けれどちらちらと見る訳にもいかず、澄佳はカウンターに入り、皿洗いに専念した。

…15分ほど経った頃、男が立ち上がるのが見えた。
「会計してくれる?」
澄佳は弾かれたように、カウンターからレジに向かった。
ちらりと男のテーブルを見ると、皿の上は綺麗になにも残されていなかった。
…良かった…!
澄佳はほっと安堵した。
「美味しかったよ」
思ったより近いところから声がかかり、驚いて貌を上げる。
…冷めた眼差しの色が少しだけ和らいで見えた。
「…ありがとうございます…」
肩から力が一気に抜けた。
ふうっと息を吐いたのを見て、また笑われた。
…けれど、やはり嫌な気はしなかった。





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