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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
店の前の駐車場には黒のセンチュリーが停まり、運転手が恭しくドアを開けていた。
今まさに男…片岡が乗り込もうとしているのを呼び止める。
「待ってください!お釣りです!」
片岡はちらりと澄佳を振り返ると、その引き締まった頰に薄く笑みを刷いた。
「チップだ」
「…そんな…チップなんていりません!」
「取っておいてくれ。カキフライが美味かったお礼だ」
「困ります。こんなにたくさん…」
片岡が車から離れ、ゆっくりと澄佳に近づく。
思わず後退りする澄佳に、
「また君の料理を食べに来てもいいか?」
「…それは…いいですけど…」
…ここは食堂だ。拒む理由はない。
「じゃあ、美人シェフの予約代だ」
無邪気に笑われて、唖然とする。

「君の名前を教えてくれ。俺は教えた」
有無を言わさない言葉に、小さな声で答えた。
「…澄佳です。小川澄佳…」
片岡が眼を細めた。
「…澄佳か…。
綺麗な名前だ…」
…そうして、ゆっくりと一歩近づくと、まるで愛を告白するように甘く囁いた。

「…また来る。澄佳…」


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