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第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜

…横須賀の港が見下ろせるラグジュアリーな高級ホテルの最上階のメインダイニングでディナーを摂った。
周りは外国人のエグゼクティブなビジネスマンや富裕層の夫婦らしき客ばかりであった。
澄佳は自分のドレスを見下ろし、ほっとした。
…自分のあのワンピースでは、肩身が狭い思いをしただろう…と寂しく思った。

「…疲れただろう。
今日はここに一泊して、明日俺のマンションに行こう」
優しく微笑う片岡に頷きながら、まだ信じられないような現実感のない思いに囚われていた。
…このまま、目の前の男との生活が始まるのだろうか…。
実感がまるで湧かない。
せっかくの上質なフレンチ料理も味が良く分からない。
食が進まない澄佳を見て、片岡はナプキンを畳んだ。
「…もう行こうか。早く部屋で休もう…」
男の貌を見る勇気がない。
澄佳は俯いたまま、小さく頷いた。