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第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜

ホテルの部屋に入ると、澄佳はすぐに片岡に腕を引かれ、やや乱暴に壁に押し付けられた。
身を硬くする澄佳の貌を両手で持ち上げられ、じっと見つめられる。
感に耐えたような男の声が漏れる。

「…君は綺麗だな…。
こんなに綺麗な子を俺は初めて見たよ…。
…初めて女の子に見惚れた…。
あんな燻んだ田舎の海の町で…古びた食堂で…君は奇跡のように美しかった。
君を見た瞬間、俺は言葉を失くした。
…自分が酷く醜いような気になったんだ…。
そんな気持ちは生まれて初めてだった」
…そうして…
「一目惚れだよ…。悔しいけれど…」
苦笑いとともに伝えられた。
「…だから、どうしても君が欲しかった…」
頬を撫でられ…唇が重ねられる。
…涙がとめどなく溢れる…。
嬉しいのか、哀しいのか…もはや澄佳には分からなかった…。

…ただ、今自分を狂おしく求める男が恋しかった。
傲慢さと冷酷さが透けて見えるこの男が…。
恋しくて…愛おしくて…澄佳もまた、この男が胸が苦しくなるほどに欲しかったのだ…。