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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
片岡の住まいは、中目黒にある瀟洒なマンションだった。
5LDKの広々とした間取り…。
南側に面した洒落たルーフバルコニーも備えていた。
洗練されたモノトーンの家具は必要な分だけ備わっていたが、生活感を感じさせるものは何もないシンプルな部屋だった。
キッチンは新品そのものだった。
…ここにずっと一人暮らしをしているのだろうか…。
澄佳は少し疑問に思った。

それぞれの部屋を案内しながら、片岡がさもなく告げた。
「澄佳のものを買わなくちゃな…。
着の身着のままで連れて来たからね。
明日、秘書を寄越すから一緒に必要なものを買いに行きなさい。
遠慮は要らない。
何を買っても構わないよ」

澄佳は長い睫毛を不安げに瞬かせた。
「…一緒に、来てくれないんですか?」
いきなり知らないひとと見知らぬ東京で二人で買い物をしなくてはならないのかと、心細くなる。
…何よりも、片岡と離れてしまうのが寂しくて堪らなかったのだ。

片岡は澄佳を振り返ると、冷淡な眼差しに温かみのある温度を灯し、引き寄せた。
「…どうした?俺と離れたくないのか?」
余裕に満ちた揶揄うような言葉が憎らしい。
上目遣いで見上げると、甘いキスが降りてきた。
「…俺も澄佳と離れたくないよ。
君が可愛くて可愛くて仕方ない。
…でも、明日はどうしても外せない仕事があるんだ。
我慢してくれ…。
…秘書は有能で気働きもできる人間だ。
心配はいらない」
やがて変わる濃密なキスの合間に優しく囁かれる。
「…分かりました…」
掠れた声で答えるのが精一杯だ。

男は、吐息交じりに微笑む。
「…本当に素直で可愛いな。
澄佳はいい子だ…」
…大好きだよ…澄佳…。

…火照る耳朶に熱く囁かれ、寝室のダブルベッドに押し倒される。

…初めての性の快楽を覚え始めた身体は、その畏れと期待に細かく震え…男にしがみつくことしか出来なかった…。

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