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第1章 prologue

…瑠璃子が入院し、状態が落ち着いた頃に柊司は家を出て一人暮らしを始めた。
由貴子と二人きりで、この広い自宅に住まい続けるだけの自制心は柊司にはなかったのだ。
自分の由貴子に対する複雑な…そして甘美な想いを自ら封じ、忘れるために…。

一人暮らしを切り出した時、由貴子は一瞬寂しそうな表情を見せたが直ぐに静かに微笑んだ。
「…そうよね。柊司さんももうお一人で新しい生活をスタートさせなくてはね…」
そうして、そっと付け加えた。
「…今まで、本当にありがとう…」