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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
片岡を見送り、澄佳は一通りの家事を済ませ一息ついた。

片岡は澄佳の手が荒れることを嫌がり家政婦を雇うことを勧めたが、断った。
部屋数はあるが大人二人だけの暮らしだ。
洗濯も掃除も大した労力ではない。
…それに、人見知りの澄佳は他人が家に入ることが苦手だったのだ。

…片岡と二人の暮らしは楽しく刺激的だ。
けれど、多忙な片岡は毎日帰宅はしない。
週に一度、帰ってきて週末を澄佳と過ごすことがせいぜいだ。
海外出張も多い。
その休みも不規則だった。
その為に日々の殆どを澄佳は一人で過ごしていた。

時折、宮緒が様子を見に来てくれた。
…恐らくは片岡の指示だろう。
宮緒は澄佳が好きな洋菓子や和菓子などを土産に世間話を少ししてゆくのだ。

「…片岡さんは忙しくて…なかなか会えないんです。
毎日少し退屈なの。…贅沢だとは思うけれど…」
宮緒には自分の愚痴めいたものを打ち明けることができた。

自由になる金もカードも与えられ、何を買っても構わないと言われていたが、内房のあの海の町に帰ることは禁じられていた。
「…あの町に帰ると澄佳はもう俺の元に戻って来てくれない気がするんだ。
だから帰っては駄目だよ」
束縛めいた言葉も、男の澄佳への熱い愛だと思っていた。
澄佳は片岡の言葉に従順に従っていたのだ。

宮緒はそんな澄佳に控えめに提案した。
「…何か趣味を持たれたらいかがですか?
…例えば澄佳さんがなさっているアクセサリー作りなど…。
あれをフリマアプリで出品されたらいかがでしょう。
澄佳さんの作られるアクセサリーはとてもセンスが良くて素敵です。
きっと購入したいと思うユーザーが沢山いますよ」
「…フリマアプリ…?…へえ…」

宮緒の勧めで澄佳はフリマアプリに登録し、ハンドメイドのアクセサリーを出品することにした。
時間はいくらでもあったからだ。
宮緒の言う通り、澄佳のアクセサリーはすぐに驚くほどに沢山のフォロワーがつき、順調に売れるようになった。

収入が入ることよりも、自分の作ったものが必要とされ喜ばれていることが嬉しかった。
今では日々の楽しみと張り合いになっていた。

「…さて…と。商品の発送をして…。
そうだわ。明日のディナーの準備をしなくちゃ…」
澄佳は銀座のデパートまで買い出しに出かけることにした。
…片岡さんを驚かせたい…。
澄佳の心は明るく弾んでいた。




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