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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
…「それにしても久しぶりよね、麻季子。
…直人さんにお会いするのは貴方たちの結婚式以来じゃないかしら?」
片岡の前に座った女性が語り始めた。

澄佳は息が止まるほどに驚愕する。
…結婚式…?結婚式…て…誰の…?
どういうこと…?
叫び出しそうになるのを必死で抑える。

「そうだったかしら?直人さん」
…女の声…。
ややハスキーで無機質な声だ。
少し投げやりな印象も覚える。
しかしそれは慣れ親しんだ間柄を表すものにも思えた。
「…そうかもしれないですね。五年ぶりくらいかな…。
あっという間ですね」
…淡々とした声…。
けれどそれは間違いなく片岡の声だ。
「五年か…。でも貴方たちは直人さんが単身赴任時期も長かったし、まだ新婚みたいなものじゃない?
今は?もう一緒に暮らしているの?」
女は薄く笑った。
「新婚なんて可愛らしいものじゃないわ。
この人は仕事の鬼だし…。
そんな人に付き合っていられないわ」
「え?じゃあ麻季子はまだ成城のご実家にいるの?」
「パパに敷地内に離れを建ててもらったの。
直人さんはたまに通ってくるわ」

「平安朝の貴族のようでしょう?
…お姫様のご機嫌を取るのは大変ですよ」
…肩を竦める気配がした。
けれど、片岡の真意は分からない。
…今、澄佳の耳に入っていることが現実なのかも心許ない…。
「麻季子は相変わらず我儘ねえ…」
呆れたように漏らす友人らしきひとを女は軽くあしらった。
「だってこのひと、最近はずっと内房の小さな町に行きっぱなしだったのよ。
そんな田舎に付いていけるわけ、ないじゃない」
「内房?館山とか?海が綺麗なところよね。
いいじゃない。麻季子も付いて行けばいいのに」
「嫌よ。田舎なんて。何にもないところなんて三日が限界。刺激もないし退屈だもの」
吐き捨てるように言われ、自分が罵倒されたような気持ちになる。

…このひとが…本当に片岡さんの奥様…?
嘘だ…。
何かの間違えだ…。
混乱する澄佳の耳に、聞き慣れた男の声が飛び込んで来た。

「いいんですよ、麻季子にあんな田舎町は似合わない。
僕は麻季子に苦労や意に染まぬことをさせるつもりはありません。
毎日好きなように暮らして貰えたら、満足ですよ」
…妻を尊重する夫の言葉としか思えない…。

…妻…?
そんな…そんな馬鹿な…!
片岡は、本当にこの女と夫婦なのだろうか…?






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