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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
中目黒のマンションに着くと、宮緒は澄佳をソファに座らせた。
「社長に急ぎの書類を届けにあのホテルに行ったのです。
…そうしたら貴女がいらした…」
痛ましげに澄佳を見つめたのち暖房を入れ、自分の上着を脱ぎ澄佳の肩に掛ける。
「…お茶を淹れます…。
キッチンをお借りします」
…返事もすることができないほどに打ち拉がれている澄佳を黙って見守り、宮緒はキッチンに入る。

…間も無く温かな湯気とともにマグカップに入れられた薫り高いダージリンがそっと差し出された。

まだ小刻みに震える白い手を取り、宮緒はマグカップを握らせる。
…重なる宮緒の手は温かく、澄佳は新たな涙を静かに零した。

「…貴方は…宮緒さんは…ずっと知っていたのね…。
私が片岡さんの愛人だと言うことを…。
さぞ、滑稽だったでしょうね…。
何も知らない私を…。
何も知らずに片岡さんに恋をして…信じていた私を…。
…貴方はずっと知っていて…私を蔑んでいたの…?
それとも憐れんでいたの…?」
宮緒に当たるのは筋違いだ。
分かっている。
けれど、言葉が止まらない。
己れの悲憤の気持ちをぶつけずにはいられない。

「そのどちらでもありません」
…片岡に似た…けれど彼より優しみのある端正な貌が苦しげに歪み、澄佳を見つめる。
「…ずっと願っていました。
貴女が真実を知らずに済むようにと…。
祈ってさえいた…。
…貴女のこんな哀しい貌を見たくはなかったから…」

澄佳の白い頬が涙に濡れ、長い睫毛が瞬かれる。
宮緒の長い腕が伸ばされ、引き寄せられる。
震える澄佳の身体を繋ぎ止めるように強く抱きしめられた。

…温かな胸…。
傷ついた小鳥が羽を休めるのに、これ以上にはない場所であった。
…澄佳の身体から力が抜ける。

宮緒は熱情を込めて囁いた。
…いつもの冷静沈着な彼の姿は片鱗もなかった。
「…私は…今ほど義兄が許せないと思ったことはありません」
…初めて義兄と…彼の口から語られた。
「…自分が愛人の息子でも、傷ついたことはなかった。
義兄の下で秘書として働いても構わなかった。
…けれど、貴女を傷つけ泣かせた義兄は許せない…。
許すことができない…!
…なぜなら私は…私は貴女が…!」
宮緒の胸の中から彼の貌を見上げる。
眼鏡の奥の熱い情熱を滾らせた端正な眼差しと眼が合う。

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