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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
愛おしい恋人のように澄佳は引き寄せられ、宮緒の貌が近づく。
涙で潤み…宮緒の貌がゆらゆらと歪む。
それでも彼の貌は清潔で美しかった。

…優しいひと…。
穏やかで優しくて…私をこんなにも気遣ってくれるひと…。
…このひとを好きになれたら…私は幸せになれるのだろうか…。

宮緒の温かな手が澄佳の貌を引き寄せる。
「…貴女が好きです…澄佳さん…。
…初めて会った時から…貴女に惹かれていた…。
貴女を独り占め出来る義兄を…初めて羨ましいと思いました…」
「…宮緒…さん…」
…このひとを…愛せたら…。

…唇が触れ合いそうな刹那…澄佳ははっと我に返り、彼の腕を突き放した。
「…ごめんなさい…宮緒さん…」
…弱々しく…けれど、はっきりと告げる。

「…私…片岡さんが好きなの…。
愛しているの…。
…私を騙して…酷い人だと分かっている…。
…でも…好きなの…。…あのひとが…大好きなの…」
「…澄佳さん…」
宮緒の手がそっと離される。
「…愛しているの…どうしようもないほどに…」
そう絞り出すように叫ぶと、澄佳は再び声を放って泣いたのだ…。
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