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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
「…澄佳…どうした?
…具合でも悪いの?」

翌日の夕方、マンションに帰宅した片岡は灯りも点けずにソファに座り込んでいた澄佳を見つけ、眉を顰めた。
…返事は、ない。

澄佳の隣に座り、気遣わしげに貌を覗き込む。
…まるで青ざめた白い花のように生気がない貌…。
片岡はその大きな手を優しく澄佳の額に当てた。
「熱でもあるのかな?大丈夫?」

…澄佳の貌がゆっくりと片岡を見上げた。
その美しい瞳に浮かぶ果てしない悲しみの色に、息を飲む。

澄佳の色褪せた唇が震えながら開かれた。
「…どうして…」
「うん?」
「…どうして…嘘を吐いたの?
…どうして…結婚している…て言わなかったの?」
片岡の怜悧に整った貌が微かに引き攣った。
「…澄佳…」
「…昨日…銀座のホテルで見たの…。
貴方と…奥様を…」

片岡は一瞬瞼を閉じ、やがて澄佳に向き直るとその両手で肩を抱き、ゆっくりと口を開いた。
「…澄佳…。
聞いてくれ。
俺と妻とはとっくに破綻している関係なんだ」
「……」
「…妻とは…麻季子とは元々打算だけの結婚だった。
都市銀行の頭取の娘との縁談を親父が勝手に決めて俺に強いた。
最初から何の愛情もない結婚だったんだ。
妻は俺の仕事に何の理解もない。
千葉の田舎の土建屋から成り上がった俺の親父も馬鹿にしているような女だ。
だから結婚当初から別居婚を続けている。
…何度も離婚しようと切り出したが、体裁が悪いと突っぱねられてきた。
…俺の会社も妻の父親の銀行から多大な融資を受けている。
それを妻の父親からやんわりと匂わされた。
だから今はまだ離婚できないんだ」
…嘘だ…。
男の常套手段だ…。
…分かっているのに、自分を抱く手を振り払えない。
男の言葉に必死で耳を傾けてしまう。
「…そんな時に君に出会った。
君は綺麗で無垢で純粋で…。
俺は君に夢中になった。
…だから嘘をついてでも君を自分のものにしたかったんだ」

…嘘だ…。
本当に私を好きなら…愛しているなら真実を語れたはずだ…。
…このひとの狡さを…分かっているのに…なぜこの手を離せないのだろうか…。

澄佳は自分の心弱さに涙を流す。
…私も狡いのだ…。
このひとから離れたくないのだ…。
…生まれて初めて愛した…このひとを喪うことが怖いのだ…。

…だから、こんな風に惨めに愛を確かめてしまうのだ。
「…私を…愛している…?」

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