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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
「…義兄に頼りにされるのが嬉しかった…。
義兄は僕の憧れでした。
男らしく賢く冷静で洗練されていて…そしてどこか悪の魅力があって…。
…だから兄に秘書になってくれと言われた時は嬉しかった…」

…そうだ…。
あのひとは、どこか人を寄せ付けないように冷たく見えて、どうしようもなくその魅力に惹かれてしまうひとなのだ…。
…私も…このひとも…。

澄佳は繋いだ手をぎゅっと握り締める。
宮緒が澄佳を見つめる。
その手が、潮風に遊ばれる澄佳の艶やかな髪を優しく撫でる。
「…貴女とあの町で会いたかった…。
義兄と貴女が出逢う前に…。
あの小さな海の町で…」
「…宮緒さん…」
その手に手を重ねる。

「…そうしたら…僕に恋してくれたかな…?」
澄佳の温かな涙が宮緒の手を濡らす。
「…ええ…。きっと貴方に恋したわ…。
…きっと貴方に夢中になったわ…」
宮緒の手が澄佳を引き寄せる。
温かな胸に、冷たい潮風から守るように抱き締める。

「…今だけは…私は貴方の恋人よ…。
今だけは…私は貴方の…」
涙に濡れた密やかな囁き…。
「…澄佳さん…」
…宮緒は澄佳の可憐な薄紅色の唇に、そっと触れるだけの優しいキスを落とした…。





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