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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
固唾を呑んで立ち竦む澄佳に、麻季子はゆっくりと近づく。
…その貌には、先ほどの笑顔はもう浮かんではいなかった。
能面のように冷たい…心を凍らせるような無表情な貌だ。

「貴女はしたたかなのよ。
虫も殺さぬ清楚な貌をして…男を手玉に取る。
直人さんだけじゃない。宮緒もね。
大した悪女だわ」

澄佳は美しい黒い瞳を見開いた。
震える薄紅色の唇は言葉を成すことをできなかった。
麻季子の整っているが姸のある細面の貌が近づく。

「…私はね、直人さんとの子どもが欲しかったのよ。
でも、出来なかった。
…当たり前よ。夫婦生活なんてもう十年もないんですもの。
あのひとは新婚旅行の夜に私をお義理に一度抱いただけ…。
それからはずっと私は名前だけの妻だったわ。
…だって、私はあのひとにとって事業が成功するための保険みたいなものだもの。
…直人さんは優しかったわ。
私が彼のお金を湯水の如く使ってもどんなに我儘を言っても寛容だった。
両親や友人の前では理想の夫を演じ続けていた…。
…みんな口を揃えて言ったわ。
なんて素敵な旦那様!
ハンサムでお金持ちで優しくて…麻季子は幸せね!
羨ましいわ!…て」
破裂音のような笑い声が響き渡る。
麻季子の眦が釣り上がる。
「幸せなものですか!羨ましい⁈冗談じゃないわ!
私を抱きもしない形だけの夫!どこが羨ましいのよ!」
麻季子が癇性に足を踏み鳴らした。
苛立った叫び声が続く。
「私の人生は完璧だったわ。
欲しいものはすべて手に入った。
誰もが羨む人生で、私も自分の人生に満足していた。
…あのひとと結婚してから私の人生は変わってしまった。
…私を見向きもしないあのひとを…ずっとずっと追いかけて…!
好きだったのに…!
誰よりも…誰よりも好きだったのに!」
美しくセットされた髪を振り乱し、天を仰ぐ。

…明らかに常軌を逸している麻季子を前に、澄佳は身体が金縛りに遭ったかのように動かない。

麻季子がゆっくりと、澄佳を振り向いた。
泣き笑いのような不思議な表情を浮かべ、手を伸ばす。
「…なのにあのひとは…貴女みたいなつまらない田舎者の小娘に手を出した…。
…ねえ…教えて…。
私のどこが貴女に劣っているというの…?」



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