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フリマアプリの恋人
第6章 チャイナローズの躊躇い 〜告白〜
「…僕と結婚してください。
貴女を愛しています。
ずっと愛していた…」
澄佳の潤んだ美しい瞳が信じられないように見開かれた。
「…宮緒さん…?…何を…」
「ずっと考えていたのです。
愛しているひとは、貴女だけだ。
…あの日以来ずっと…貴女だけを…」
…愛している…。
宮緒の眼鏡越しの端正な眼差しには、曇りのない真実があった。

…けれど…。
今の澄佳には、その瞳は余りにも眩しすぎた。
…それに…。

「…貴方は片岡さんの義弟さんなのよ。
これから然るべき立場になられる方だわ。
きっと良い縁談も降るようにあるわ。
…片岡さんの愛人だった女と結婚なんて…許されるはずがない…」
凛とした声が答える。
「捨てるよ。貴方のためなら…全てを捨てる。
…二人で…誰も知らない場所に行こう。
…新しい場所で…最初からやり直そう…」

温かな手が澄佳に語りかける。
…新しい場所…やり直す…。
そんなことが、許されるのだろうか…。

…この手を離さずに…付いて行けば…私にも…。

澄佳の唇が恐る恐る開きかけた時…窓辺に飾られた薔薇の花弁がひとひら舞い落ち、開け放たれた窓から吹く風に吹かれ…澄佳の胸元にふわりと落ちてきた。

澄佳は首を巡らせ、その花を見上げた。

「…チャイナローズだわ…。
…誰がこの花を…?」

宮緒が躊躇いながら口を開いた。
「…社長です。
ご自分は麻季子さんに付き添うから、僕に澄佳さんを頼むと言われ…この花を…」

…チャイナローズ…真紅の薔薇…。
…あの夏の日…水の都…蘇州の夜…。
想い出が…儚いからくり箱を開くように鮮やかに蘇る。




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