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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密

…瑠璃子の主治医の森健斗がのんびり明るい表情を浮かべ、白衣のポケットに両手を突っ込みながら佇んでいた。
夜勤明けなのか、長身の身体をやや猫背にして、ボサボサの髪に無精髭という風体だが、独特の成熟した男の色気を感じさせる。
「…いや、ここにももうひとり絶世の美女がおられるから三人か。
…すごいな、柊司。お前はハーレムの王様か?」
…健斗の背後に、ひっそりと隠れるように由貴子がいたのだ。
「…健斗。…母様…」
澄佳が腰掛けていたベッドからさっと立ち上がり、二人に頭を下げた。
瑠璃子が無邪気に弾んだ声で話しかける。
「ケンケン!ママ!柊ちゃんの恋人の澄佳さんだよ。
もうすぐお嫁さんになるんだって!」
…ほう…と驚きに眼を見張る健斗の隣で、由貴子は静かに微笑んだ。
「存じ上げているわ。昨日、柊司さんのマンションでお会いしたのよ。
…澄佳さん。わざわざ瑠璃子のお見舞いに来てくださったのかしら?
ありがとうございます。
せっかくの柊司さんとの貴重なお時間を…ごめんなさいね」
澄佳が慌てて首を振る。
「とんでもありません。
私、瑠璃子ちゃんにお会いできてとても嬉しいです…」
瑠璃子が由貴子に駆け寄りくるくる回り、バレッタを見せる。
「ねえ、見て!これ、澄佳さんのハンドメイドなの。
すごいでしょ?今度、私にも作り方を教えてくださるって!」
「まあ…。素敵なバレッタね。
澄佳さんはお料理もお上手だし、何でもお出来になるのね。
…でも瑠璃ちゃん、あまりご迷惑にならないようにね。
澄佳さんと柊司さんはご結婚なさるのだから、これから色々とお忙しいのよ」
…ね…?と柊司をどことなく寂しげな艶を含んだ瞳で、由貴子は見上げた。
「…そんな…。母様…。
瑠璃子との時間くらい充分に持てますよ」
柊司の言葉はどことなくぎこちなかった。
「そりゃそうだ。こんな美女と結婚するからって可愛い妹を蔑ろにしたらバチが当たるぞ?
…柊司、おめでとう!お前もようやく年貢を納めるのか!
だが、粘っただけのことはあったな。
…今までで一番美しく魅力的な女性だ!」
健斗がふざけたように柊司に抱きついた。
「健斗…!お前なあ…」
抗う柊司をがっしりと抱きしめて…
「…うまくやれよ。
…それから、もうひとりの美しき未亡人をあまり泣かせるなよ…」
…耳元でそっと囁いたのだった。
夜勤明けなのか、長身の身体をやや猫背にして、ボサボサの髪に無精髭という風体だが、独特の成熟した男の色気を感じさせる。
「…いや、ここにももうひとり絶世の美女がおられるから三人か。
…すごいな、柊司。お前はハーレムの王様か?」
…健斗の背後に、ひっそりと隠れるように由貴子がいたのだ。
「…健斗。…母様…」
澄佳が腰掛けていたベッドからさっと立ち上がり、二人に頭を下げた。
瑠璃子が無邪気に弾んだ声で話しかける。
「ケンケン!ママ!柊ちゃんの恋人の澄佳さんだよ。
もうすぐお嫁さんになるんだって!」
…ほう…と驚きに眼を見張る健斗の隣で、由貴子は静かに微笑んだ。
「存じ上げているわ。昨日、柊司さんのマンションでお会いしたのよ。
…澄佳さん。わざわざ瑠璃子のお見舞いに来てくださったのかしら?
ありがとうございます。
せっかくの柊司さんとの貴重なお時間を…ごめんなさいね」
澄佳が慌てて首を振る。
「とんでもありません。
私、瑠璃子ちゃんにお会いできてとても嬉しいです…」
瑠璃子が由貴子に駆け寄りくるくる回り、バレッタを見せる。
「ねえ、見て!これ、澄佳さんのハンドメイドなの。
すごいでしょ?今度、私にも作り方を教えてくださるって!」
「まあ…。素敵なバレッタね。
澄佳さんはお料理もお上手だし、何でもお出来になるのね。
…でも瑠璃ちゃん、あまりご迷惑にならないようにね。
澄佳さんと柊司さんはご結婚なさるのだから、これから色々とお忙しいのよ」
…ね…?と柊司をどことなく寂しげな艶を含んだ瞳で、由貴子は見上げた。
「…そんな…。母様…。
瑠璃子との時間くらい充分に持てますよ」
柊司の言葉はどことなくぎこちなかった。
「そりゃそうだ。こんな美女と結婚するからって可愛い妹を蔑ろにしたらバチが当たるぞ?
…柊司、おめでとう!お前もようやく年貢を納めるのか!
だが、粘っただけのことはあったな。
…今までで一番美しく魅力的な女性だ!」
健斗がふざけたように柊司に抱きついた。
「健斗…!お前なあ…」
抗う柊司をがっしりと抱きしめて…
「…うまくやれよ。
…それから、もうひとりの美しき未亡人をあまり泣かせるなよ…」
…耳元でそっと囁いたのだった。

