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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密

健斗はぱっと柊司から離れると、澄佳に近づいて大袈裟に握手を求めた。
「初めまして。
瑠璃子ちゃんの主治医兼柊司の大学時代の友人です。…悪友かな?
上品なお坊っちゃまの柊司には色々悪さを教えてしまったからね」
「おい、おかしなことを言うなよ」
肘鉄を食らわす柊司にわざと呻き、にやりと笑う。
「…時々優柔不断になりますけど、こいつはいい奴ですよ。
僕が保証します。
二人で末永くお幸せに」
「ありがとうございます…!」
感激したように声を詰まらせる澄佳の手をぎゅっと握りしめ…
「またいらしてください。
…と言っても、瑠璃子ちゃんももうすぐ退院だから、今度お会いするときは結婚式かな?」
戯けて目配せした。
柊司が目を輝かせ、瑠璃子を振り返った。
「もうすぐ退院か…!瑠璃子、良かったな」
「…まあね…」
意外なことにあまり浮かない貌で返事が返ってきた。
「…瑠璃ちゃん、少し休んだら?
疲れたんじゃないかしら…」
由貴子が優しく話しかけ、瑠璃子の肩にカーディガンを掛ける。
瑠璃子も素直に由貴子に従い、ベッドに横になった。
「私ももう失礼いたします。
…瑠璃子ちゃん、今日はありがとうございました」
状況をさりげなく読んだ澄佳が暇乞いを告げる。
瑠璃子が澄佳に頷きながら、小指を差し出した。
「ありがとう、澄佳さん。
…アクセサリー、きっとね。
指切りげんまんして?」
澄佳が優しく微笑んで、白い小指を絡めた。
「…もちろんだわ」
ブランケットを直しながら、由貴子がさりげなく切り出す。
「…柊司さんも澄佳さんを送られたら、そのままお帰りになって…。
こちらはもう大丈夫だから…」
柊司はすぐさま首を振った。
「いいえ、戻ってきますよ。
母様を家までお送りしますから…」
瑠璃子の病室で会った時はいつも由貴子を実家まで送っていたのだ。
「心配するな。由貴子さんは僕が送る」
健斗が柊司の肩に手を置いた。
「僕はこれから休みだ。
家も近いしお送りしますよ、由貴子さん」
由貴子は一瞬躊躇したが、やがて静かに頷いた。
「…ご迷惑でなければ、お言葉に甘えさせていただきます…」
「母様…」
口を開いた柊司に、瑠璃子がわざと蓮っ葉な口調で言った。
「ケンケン、ママを口説かないでよ。
ママは亡くなったパパ一筋なんだからね」
健斗が生真面目な貌で敬礼した。
「承知いたしました。お姫様」
「初めまして。
瑠璃子ちゃんの主治医兼柊司の大学時代の友人です。…悪友かな?
上品なお坊っちゃまの柊司には色々悪さを教えてしまったからね」
「おい、おかしなことを言うなよ」
肘鉄を食らわす柊司にわざと呻き、にやりと笑う。
「…時々優柔不断になりますけど、こいつはいい奴ですよ。
僕が保証します。
二人で末永くお幸せに」
「ありがとうございます…!」
感激したように声を詰まらせる澄佳の手をぎゅっと握りしめ…
「またいらしてください。
…と言っても、瑠璃子ちゃんももうすぐ退院だから、今度お会いするときは結婚式かな?」
戯けて目配せした。
柊司が目を輝かせ、瑠璃子を振り返った。
「もうすぐ退院か…!瑠璃子、良かったな」
「…まあね…」
意外なことにあまり浮かない貌で返事が返ってきた。
「…瑠璃ちゃん、少し休んだら?
疲れたんじゃないかしら…」
由貴子が優しく話しかけ、瑠璃子の肩にカーディガンを掛ける。
瑠璃子も素直に由貴子に従い、ベッドに横になった。
「私ももう失礼いたします。
…瑠璃子ちゃん、今日はありがとうございました」
状況をさりげなく読んだ澄佳が暇乞いを告げる。
瑠璃子が澄佳に頷きながら、小指を差し出した。
「ありがとう、澄佳さん。
…アクセサリー、きっとね。
指切りげんまんして?」
澄佳が優しく微笑んで、白い小指を絡めた。
「…もちろんだわ」
ブランケットを直しながら、由貴子がさりげなく切り出す。
「…柊司さんも澄佳さんを送られたら、そのままお帰りになって…。
こちらはもう大丈夫だから…」
柊司はすぐさま首を振った。
「いいえ、戻ってきますよ。
母様を家までお送りしますから…」
瑠璃子の病室で会った時はいつも由貴子を実家まで送っていたのだ。
「心配するな。由貴子さんは僕が送る」
健斗が柊司の肩に手を置いた。
「僕はこれから休みだ。
家も近いしお送りしますよ、由貴子さん」
由貴子は一瞬躊躇したが、やがて静かに頷いた。
「…ご迷惑でなければ、お言葉に甘えさせていただきます…」
「母様…」
口を開いた柊司に、瑠璃子がわざと蓮っ葉な口調で言った。
「ケンケン、ママを口説かないでよ。
ママは亡くなったパパ一筋なんだからね」
健斗が生真面目な貌で敬礼した。
「承知いたしました。お姫様」

