この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
「由貴子さん、寒くないですか?
エアコンの風、大丈夫ですか?」
健斗は片手ハンドルでエアコンの送風口に手を翳した。
車内に仄かに香る由貴子の伽羅の香が、健斗を浮き足立たさせる。

「…大丈夫です。お気になさらないでください。先生」
そっけない返事が返ってくるのに、苦笑する。
…いつもの丁寧で礼儀正しく如何にも大和撫子然とした由貴子とは大違いの様子であった。
そんな由貴子に少しも気分を害することもなく、健斗はやや愉しげに尋ねた。
「ご機嫌斜めですね。
柊司に恋人が出来たことがそんなにショックですか?
…いや、恋人なら今までにも何人もいた筈だ。
結婚しようとする相手が現れたのがショックなのでしょう?」

由貴子の細面の白く美しい貌がはっとしたように振り向く。
「森先生…。何を仰っているのですか?」
明らかに怒りを含んだ眼差しが光る。

…そうだ。
俺は、このひとのこんな眼を見たかったんだ。
…健斗はぞくぞくとするような悦びを感じる。
「貴女が柊司を好きなことは昔から存じていますよ。
柊司も貴女にある種、背徳めいた愛を感じていたことも…ね。
若く美しい未亡人の義母と血の繋がらないハンサムな息子…。歳も12しか離れていない。
…まるで美しいメロドラマだ。
恋しない筈がない」

…けれど…と、一旦口をつぐみ…やがてゆっくりと諭すような口調で語りかけた。
「…もうやめた方がいい。
柊司は禁忌を犯してまで恋を貫く男じゃない。
あいつは至極真っ当な人間だ。
澄佳さん、亡くなった貴女のご主人、瑠璃子ちゃん…そして貴女の為に親子の関係は守り通すでしょう。
あいつを愛しても貴女が傷つくだけだ」

由貴子が毅然と言い放った。
「下ろしてください。…下ろしてくださらないなら…飛び降ります」
由貴子が助手席のドアロックを解除しようとするのを慌てて制止し、車を停めた。
路肩に寄せてサイドブレーキを引く。
「ちょっと!危ないじゃないですか!」

由貴子が怒りに燃えた美しい瞳で健斗を睨め付けた。
その麗しい唇から、強い憤りの言葉が迸る。
「森先生が失礼なことばかり仰るからです!
貴方に…貴方に一体私の何が分かると言うの⁈
何も分かりはしないわ。
私のことも…柊司さんのことも…!」



/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ