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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
…「…睡眠導入剤を密かに貯めていたらしい。
本来は看護師の見ている前で飲むものなんだが、瑠璃子ちゃんが他の薬にすり替えて飲んでいたらしい…。
こちらのミスだ。本当に申し訳ない」
健斗が珍しく厳しい表情を浮かべ、頭を下げた。
「いや…。お前のせいじゃない。
僕たち家族が重要なサインを見逃していたんだ」
鎮静剤で静かに眠る瑠璃子を見下ろす…。
…青ざめた…透き通るように白い肌が痛々しい。
閉じた睫毛が影を落とし、その人形のように愛らしい顔立ちには胸が痛むほどの哀しみの色が浮かんでいた。

由貴子はベッドの傍らに座り、瑠璃子の手を握りしめ頰に当てる。
「…瑠璃ちゃん…。ごめんなさいね…。
私はまた瑠璃ちゃんの気持ちをちゃんと受け止めてあげられなかった…」
柊司が声をかける前に素早く健斗が由貴子に近づき、傍に跪くとその肩を優しく抱いた。
「由貴子さん。貴女のせいじゃない。
…我々プロがいるこの病院で起こったのです。
我々の責任です。
自分を責めないでください」

…まるで大切な恋人を護るようなその仕草と言葉の熱さだった。
柊司は初めて健斗の由貴子に対する本当の心情を垣間見たような気がして驚き…微かに妬心を感じた。

…けれどすぐにそんな馬鹿げた感情を振り払うかのように首を振った。
そうしてやや硬い声で尋ねる。
「何が原因なのだろうか…。
瑠璃子はとても順調に回復していたように思えたけれど…」

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