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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
「…少し前に…うっかりネットの書き込みを読んでしまったらしいの。
削除しきれなかった掲示板があったらしくて…。
あの子に対する誹謗中傷よ。もちろん事実無根なのよ。
でも、それを読んだら…やっぱり学校に戻りたくない…と泣き出して…。
行かなくてもいいのよ…と言い聞かせたのだけど、そうしたら…」

由貴子が美しい貌を歪ませて涙をこぼした。
「…それじゃあ私は一生引き篭もりの厄介者じゃない!…て…。
学校もバレエ教室も近所も何もかも怖い…て。
家に居ても…何を生きがいに生きて行ったらいいか分からない…て。
ママにも柊ちゃんにも迷惑かけたくないのに…て泣くんです。
そんなことないのよ…貴女が居てくれるだけでいいのよ…て…私はそれしか言えなかった…。
…それが昨日の夜なんです。
そうしたら今日…」
声を詰まらせる由貴子の手を柊司は思わず握りしめる。
「母様…!母様が悪いわけじゃない。
僕がもう少し瑠璃子の心の中を思い遣ってやれたら…。
…僕は昔、父様と約束したのに…。
母様と瑠璃子を護る…と。
…なのに二人をこんなに苦しめて…。
不甲斐ない息子だよ。
…母様、ごめんね…」
「…柊司さん…。
柊司さんはよくやってくださったわ…。
感謝しているのよ…」
首を振る由貴子の涙に濡れた白い頬を、優しく拭う。

二人を見つめる健斗が、やや苦しげに口を開いた。
「…子どもは本当に不意をついてくるんです。
昨日、希望に満ちていても今日は絶望に暮れる…。
そしてその行動も常に予測を超えてくる。
…残念だけれど、それが現実です。
…もう少しじっくり瑠璃子ちゃんのカウンセリングをして行きましょう。
由貴子さんも柊司もそんなに悩まないでくれ」

「…瑠璃子…」
静かに寝息を立てる瑠璃子は、まるでお伽話に出てくる愛らしくも無邪気な姫君のようだ。
…こんなにも美しく可愛らしい少女が…。
本来なら輝かしい青春を謳歌しているはずなのに…と、柊司は口惜しくて堪らない。
瑠璃子は柊司にとって愛おしくてならない唯一の妹だ。
両親亡きあと、血が繋がった肉親は瑠璃子しかいないのだ。
…また、瑠璃子の屈託のない笑顔が見たい。
柊司は心の底から強く思った。

「…瑠璃子…。
お前を幸せにするよ…必ず…」
…それは、父親と最後に交わした約束なのだから…。

柊司は瑠璃子の艶やかな長い髪を優しく撫でた。



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