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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密

…「…懐かしいわ…。
あの時は…本当に嬉しかった…。
柊司さんが初めて私を母様と呼んでくださって…」
由貴子が昔を懐かしむような口調でぽつりと告げた。
…その頼りなげなか弱い姿に、あの日の由貴子が重なる。
ぎゅっと胸が掴まれるほどに、美しい。
「…ごめんね。すぐに呼んであげたら良かったのに…なんだか恥ずかしくて…」
…それに…。
「母様があまりに綺麗だったから…。
歳も僕と一回りしか変わらなかったし…。
戸惑ってしまったんだ」
あの頃は言えなかった本音を話す。
「…柊司さん…」
切れ長の美しい瞳がしっとりと潤んで、柊司を見上げる。
…見つめ返すと、心が奪われそうでさりげなく眼を逸らす。
「…母様、食べてみて」
プリンの蓋を開けてやり、スプーンを差し出す。
素直にスプーンを受け取り、プリンを口に運ぶ。
「…美味しいわ。とても…。
…あの日みたいだわ…」
微笑みながら、由貴子ははらはらと涙を零した。
「母様…?どうした…の…」
具合いが悪いのかと、その肩に手を掛けようとした刹那、由貴子が柊司の胸にしがみついた。
「…母様…?」
「柊司さん…!…好き…貴方が好きなの…!
…ずっと…ずっと…貴方が好きだったのよ…!」
心を振り絞るような声が、胸を貫く。
自分の胸に縋り付く由貴子を、柊司は茫然と見つめる。
「…貴方が好きだったの…。
お父様とお見合いした時から…。
私の心は貴方に奪われていたの。
…十二も歳下の…まだ中学生の男の子に…。
そんなの、普通ではないわ…。
だから自分に言い聞かせたの。
私は母性本能でこの子に惹かれているのだと…。
この子の母親になりたいのだと…。
…でも違った…。
私は最初から貴方に恋をしていたの。
美しくて賢くて優しくて…けれど必死で寂しさと闘っている…そんな貴方にたまらなく恋をしたの…」
「…母様…」
驚愕の告白に強張る柊司の頬を、由貴子はその白い指でそっとなぞる。
「…愛しているわ…。柊司さん。
…ずっと…貴方だけを愛してきたの…」
…夜の湖のように妖しく濡れた瞳が魅入るように見つめる。
そのあえかな甘い吐息を漏らす唇が、柊司の唇にそっと触れた…。
痺れるような甘美な背徳の快感が身体を走る。
…と、小さな物音がドアの外から聞こえ…振り返る。
柊司は息を飲んだ。
「…澄佳…」
…凍りついた眼差しの澄佳が、そこにいた。
あの時は…本当に嬉しかった…。
柊司さんが初めて私を母様と呼んでくださって…」
由貴子が昔を懐かしむような口調でぽつりと告げた。
…その頼りなげなか弱い姿に、あの日の由貴子が重なる。
ぎゅっと胸が掴まれるほどに、美しい。
「…ごめんね。すぐに呼んであげたら良かったのに…なんだか恥ずかしくて…」
…それに…。
「母様があまりに綺麗だったから…。
歳も僕と一回りしか変わらなかったし…。
戸惑ってしまったんだ」
あの頃は言えなかった本音を話す。
「…柊司さん…」
切れ長の美しい瞳がしっとりと潤んで、柊司を見上げる。
…見つめ返すと、心が奪われそうでさりげなく眼を逸らす。
「…母様、食べてみて」
プリンの蓋を開けてやり、スプーンを差し出す。
素直にスプーンを受け取り、プリンを口に運ぶ。
「…美味しいわ。とても…。
…あの日みたいだわ…」
微笑みながら、由貴子ははらはらと涙を零した。
「母様…?どうした…の…」
具合いが悪いのかと、その肩に手を掛けようとした刹那、由貴子が柊司の胸にしがみついた。
「…母様…?」
「柊司さん…!…好き…貴方が好きなの…!
…ずっと…ずっと…貴方が好きだったのよ…!」
心を振り絞るような声が、胸を貫く。
自分の胸に縋り付く由貴子を、柊司は茫然と見つめる。
「…貴方が好きだったの…。
お父様とお見合いした時から…。
私の心は貴方に奪われていたの。
…十二も歳下の…まだ中学生の男の子に…。
そんなの、普通ではないわ…。
だから自分に言い聞かせたの。
私は母性本能でこの子に惹かれているのだと…。
この子の母親になりたいのだと…。
…でも違った…。
私は最初から貴方に恋をしていたの。
美しくて賢くて優しくて…けれど必死で寂しさと闘っている…そんな貴方にたまらなく恋をしたの…」
「…母様…」
驚愕の告白に強張る柊司の頬を、由貴子はその白い指でそっとなぞる。
「…愛しているわ…。柊司さん。
…ずっと…貴方だけを愛してきたの…」
…夜の湖のように妖しく濡れた瞳が魅入るように見つめる。
そのあえかな甘い吐息を漏らす唇が、柊司の唇にそっと触れた…。
痺れるような甘美な背徳の快感が身体を走る。
…と、小さな物音がドアの外から聞こえ…振り返る。
柊司は息を飲んだ。
「…澄佳…」
…凍りついた眼差しの澄佳が、そこにいた。

