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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密

エレベーターで一階に降り、澄佳は転がり出るようにエントランスから外に出た。
弾みで敷石の縁に躓き、転んで手を着く。
痛みも感じないほどの衝撃に、澄佳は立ち上がることもできない。
…柊司さんと…由貴子さんがキスをしていた…。
そして…
…「貴女には渡さないわ」
あの冷ややかな眼差しと言葉…!
胸が無数のガラスの破片が刺さったかのように激しく痛む。
…わけてもショックなのは…。
柊司のあの表情だ…。
あの貌は、そんな由貴子を厭うものでも突き放すようなものでもなかった。
由貴子を想い…躊躇する切なく苦しい表情だったのだ。
あの表情が、澄佳を何より傷付けた。
…柊司さんは…由貴子さんを愛しているのではないだろうか…?
もしかして…二人は密かに想いを通わせ、愛し合っているのではないだろうか…?
辛く苦しい疑惑が、胸の中を渦巻く。
上質な御影石の床に、澄佳の涙が一粒溢れ落ちた。
「何やってんだ?澄佳。
車に忘れ物か?」
のんびりした声が頭上から聞こえた。
「…涼ちゃん…」
取り繕うこともできずに、涙に濡れた貌を上げる。
涼太の顔色が変わる。
しゃがみこみ、澄佳の腕を捉える。
「どうした⁈澄佳。
なんで泣いてる⁈
やつの部屋で何かあったのか⁈」
温かな涼太の手の温もりに、堪えきれぬ哀しみが一気に決壊する。
「…涼ちゃん…!」
澄佳は涼太の胸に縋り付き、幼子のように声を放って泣き続けた。
弾みで敷石の縁に躓き、転んで手を着く。
痛みも感じないほどの衝撃に、澄佳は立ち上がることもできない。
…柊司さんと…由貴子さんがキスをしていた…。
そして…
…「貴女には渡さないわ」
あの冷ややかな眼差しと言葉…!
胸が無数のガラスの破片が刺さったかのように激しく痛む。
…わけてもショックなのは…。
柊司のあの表情だ…。
あの貌は、そんな由貴子を厭うものでも突き放すようなものでもなかった。
由貴子を想い…躊躇する切なく苦しい表情だったのだ。
あの表情が、澄佳を何より傷付けた。
…柊司さんは…由貴子さんを愛しているのではないだろうか…?
もしかして…二人は密かに想いを通わせ、愛し合っているのではないだろうか…?
辛く苦しい疑惑が、胸の中を渦巻く。
上質な御影石の床に、澄佳の涙が一粒溢れ落ちた。
「何やってんだ?澄佳。
車に忘れ物か?」
のんびりした声が頭上から聞こえた。
「…涼ちゃん…」
取り繕うこともできずに、涙に濡れた貌を上げる。
涼太の顔色が変わる。
しゃがみこみ、澄佳の腕を捉える。
「どうした⁈澄佳。
なんで泣いてる⁈
やつの部屋で何かあったのか⁈」
温かな涼太の手の温もりに、堪えきれぬ哀しみが一気に決壊する。
「…涼ちゃん…!」
澄佳は涼太の胸に縋り付き、幼子のように声を放って泣き続けた。

